『神様は勝たせない』白河三兎(ハヤカワ文庫JA)★★★☆☆

中学最後の公式戦。PK戦を0-2で負けている状況――。 この絶体絶命の状況から、主立ったサッカー部員たちに6人よる回想によって、物語は進んでゆきます。 「全国大会初出場」を目標に掲げていたはずでした。「神様は勝ちたくない者を勝たせない」のだか…

『私にふさわしいホテル』柚木麻子(新潮文庫)★★★★☆

売れない作家が自力で栄光を切り開いてゆく奮戦記です。 コンプレックスをバネに成長してゆく、というのは、『けむたい後輩』や『早稲女、女、男』にも見られるけれど、本書の主人公・加代子ほど上昇志向が強くて逆境にならないと力を発揮できない人間ではあ…

『早稲女、女、男』柚木麻子(詳伝社文庫)★★★★☆

タイトルからもわかるとおり、早稲田の女は女ではないそうです。 いつもの柚木ヒロインのような、何だかんだ迷いながらも、がっぷり正面から人生に挑んでいるような、気持の良い大学生・早乙女香夏子が主人公です。それをそばから支える(たぶん)しっかりも…

『王妃の帰還』柚木麻子(実業之日本社文庫)★★★★☆

クラスのトップに君臨する〈王妃〉。同級生を陥れようとした陰謀がばれて権力の座から失墜した王妃を、地味グループの範子たちが受け入れ先となって迎え入れるが……。 学級を王制になぞらえたこうした筋書きだけでも面白そうで、判官贔屓の日本人にはぐっとく…

『碧空《あおぞら》のカノン 航空自衛隊航空中央音楽隊ノート』福田和代(光文社文庫)★★★☆☆

帯にも“まさかの”と書かれてありますが、福田和代のイメージからはまるで想像のつかない、日常系の、オシゴト系の、小説でした。ただしミステリとしてはかなりゆるく、謎と推理と解決というよりは、騒動とその顛末といった感じです。 あとがきによれば、別作…

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子(双葉文庫)★★★★☆

アッコさんこと黒川敦子と(元)部下の澤田三智子が、おいしいものを食べて元気を出したり(「ランチのアッコちゃん」)、おいしいものを提供して元気になってもらったり(「夜食のアッコちゃん」)して、みんなが幸せになれる作品です。元気になれば仕事も…

『けむたい後輩』柚木麻子(幻冬舎文庫)★★★★★

けむたい後輩、というタイトルからすると、あるいは主人公は栞子なのでしょうか。他人とは違う自分をアピールし人からちやほやされ芸術家を気取りたいためにすかしてみせる――そんなかつての「天才少女」に、本気で心酔する後輩が現れるとは。 栞子は自尊心さ…

『嘆きの美女』柚木麻子(朝日文庫)★★★★☆

ミステリーズ!に連載されていた「ねじまき片想い」が面白かったのでほかの作品も読んでみました。ドラマ化されていたようです。それにしてもタイトルのつけかたが上手い作家さんです。『終点のあの子』『嘆きの美女』『私にふさわしいホテル』……。 美女たち…

『文学賞メッタ斬り! 2007年版』大森望・豊崎由美(パルコ出版)★★★★☆

3冊目である本書から、「2007年版」と相成りました。予定通りに行けば、これからは年に一回出るのかな……? 今回は中原昌也がゲスト。前回の島田雅彦といい、今回もゴシップ的に(も)楽しめる。 本文の方は、対象作品そのものよりも、相も変わらず選考委員…

『となり町戦争』三崎亜記(集英社文庫)★★★★☆

短篇集『バスジャック』の方を先に読んでいたので、デビュー作である本書はこれが初読になる。パロディ的な状況を、コミカルにではなくシリアスかつおセンチに描き出すのに秀でているのは、変わってない。 非日常(?)をすんなり受け入れるところも。 通常…

『THANK YOU すべての人に 新庄剛志』(日刊スポーツグラフ)★★★★★

新庄もいいけどノムさんもおちゃめでいい(^^;。 メインはやっぱりロングインタビューでしょう。ほんっとに赤裸々に語っちゃってます。 坪井も戻ってきてめでたしめでたしです。----------------THANK YOU新庄剛志日刊スポーツ出版社 (200610下旬…

『バスジャック』三崎亜記(集英社)★★★★☆

『となり町戦争』の三崎亜記第二作。異色短篇みたいなものから、ちょっと不思議を扱った日常小説まで、大小の差や深浅の差はあれどどれも奇想が顔を覗かせる短篇ばかり。「短篇ばかり」と書いたけれど、正確に言えば掌篇から中篇まで。「二階扉をつけてくだ…

『言いまつがい』糸井重里監修(東京糸井重里事務所)★★★★★

「ティー」と言いたいのに「茶ー(チャー)」と言ってしまう。「スターバックス」に行きたいのに、出てきた言葉は「オートバックス」。そんな言い間違いを集めた読者投稿本(本書の場合、もとはウェブですが)のひとつです。それだけならよくある。大量にあ…

『40 翼ふたたび』石田衣良(講談社)★★★☆☆

7つの短篇を収録した連作長篇。40歳が主人公の青春小説です。比喩でもなんでもなくまさに青春そのもの。石田衣良の若々しい感性で描かれると、40歳とかいいつつまるっきり10代20代の青春小説でした。なんて瑞々しいんだろう。ショージキまわりにこんな若々…

『若い人』石坂洋次郎(新潮文庫)

新潮文庫〈20世紀の100冊〉の読み残しである。月10冊のペースで出されたんじゃ、とてもじゃないけど読み切れないので、読み残してあった作品を今ごろになって読む。ううむ……わたしにしてみたら、『人生劇場』と大差なかったなぁ。。。時代遅れの青春…

『孤高の人』(上)新田次郎(新潮文庫)

だめだ( ´∀`)。。。いきなり謎の老人が出てきて、主人公について「彼は〜であった。〜であった。」と語り出した時点で読むのをやめてしまったがな。まあ〈伝説〉を語るわけだから、昔話の翁みたいなものなんだろうけど……。山に興味のある人であれば、これか…

『ハンニバル』(上・下)トマス・ハリス/高見浩訳(新潮文庫)★☆☆☆☆

あらかじめ馬鹿々々しい作品を期待して読むならツボ。真面目なのを期待して読んだなら、途中で脳内回路をおバカ路線に切り替えられるニュートラルな人じゃないとしんどい。 アホくさい。というのが正直なところ。バットマンとかのぶっとんだ悪役をやってみた…

『しゃばけ』畠中恵(新潮文庫)★★☆☆☆

いやまさかここまでファンタジーど真ん中だとは思わなかった。読む前は例えば江戸を舞台にした『百鬼夜行抄』みたいなのを想像していたのだ。江戸を舞台にした『たるるーとくん』とか『金田一少年』とかそんな感じだった。キャラクターで小説を読む人なら楽…


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