無実の罪で送られた児童キャンプで、人格形成のためひたすら穴を掘り続けさせられる――という設定こそとっぴなものの、アクの強いクセ者小説ではなく、これは王道の児童文学でした。 〈脇の下〉〈X線〉〈ジグザグ〉〈ゼロ〉といった個性的なあだ名(?)を持…
子ども向けの現代ミステリー作品集。泡坂作品から傑作集を編むとすれば、誰が選んでも亜愛一郎シリーズから一篇採るのは間違いのないところなんだけれど、編者(中村哲雄編集と書いてある)は(おそらくは)敢えて亜シリーズを省いている。 結果的に、いかに…
佐藤亜紀氏の日記に書かれていたので買ってみる。 「ビビビ」という擬音もそのままの漫画の一コマを使用したカバー裏デザイン。帯に宮崎駿氏と版権保持者のコメントがあるだけで、カバーや帯にあらすじはいっさいなし。いっそいさぎよい。下手にあらすじが書…
レオン・ザイセルはニューヨークのクラシック学院に通う四年生の男の子だ。父親を亡くし、母の勤め先の一つ星ホテル・トライモア・タワーで暮らしている。四年生になって新しい担任がやってきた。ハグマイヤー先生。真っ黒でヘルメットみたいな髪に、黒いマ…
『アリス』の新訳、というよりもむしろ、トーベ・ヤンソンが描いた『アリス』がついに刊行されました。“わざわざ新訳”というプレッシャーがないせいでしょう、かなり自由気ままに訳されてます。「寂しげで昏い」「頼りなくて儚げ」というヤンソン・アリスの…
寂れた炭鉱町に越してきた僕は、風変わりな少年に誘われ、死と言う名のゲームに加わる。最初はただのゲームだったが、冬が訪れるころ何かが変わった…。死に憑かれた子どもたちの、冥界めぐりの旅。行きつく先にあるのは? 前作『肩胛骨は翼のなごり』には、…
フランキー・ピアソン、十五歳。ちょうど一年前、あたしの心に、フリーキー・グリーンアイが入りこんできた。どんなときでも、イカれた緑の目《フリーキー・グリーンアイ》が助けてくれる。パパは元フットボール選手でスーパースターだ。兄妹には十歳になる…
晶文社の海外文学シリーズ。ということで期待したのに期待はずれ。 その名のとおり大泥棒と結婚した話なんだけれど、たとえば泥棒にさらわれた純粋な娘が機知によって窮地を乗り切り真心によって泥棒を改心させる、みたいな話では全然ない。O・ヘンリーの「…