『動物妖怪譚』(上)日野巌(中公文庫BIBLIO異の世界)★★★★☆

『植物怪異伝説新考』と同じ作者だったので、漠然と〈動物編〉なんだろうくらいに思っていたのだけれど、実際のところはかなり違う。『植物怪異伝説“新考”』というくらいだからあちらは研究書なのだが、こちらはあくまで『動物妖怪“譚”』。動物妖怪が登場す…

『見えない世界の覗き方――文化としての怪異』佛教大学文学部編(法藏館)★★★★☆

佛教大学で行われたシンポジウムの模様(講演と座談会)をまとめた、民俗学入門書。京極夏彦、小松和彦、有田和臣、斎藤英喜、山極伸之、司会八木透。 もとが講演だからそんな専門的なものではないのだけれど、民俗学といえば柳田國男で止まってしまっている…

『陰摩羅鬼の瑕』京極夏彦(講談社文庫)★★★★★

「おお! そこに人殺しが居る!」探偵・榎木津礼一郎は、その場に歩み入るなりそう叫んだ――。嫁いだ花嫁の命を次々と奪っていく、白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」。その主「伯爵」こと、由良昂允とはいかなる人物か? 一方、京極堂も、呪われた由良家のこと…

『ろくろ首の首はなぜ伸びるのか 遊ぶ生物学への招待』武村政春(新潮新書)★★☆☆☆

期待していただけに、所詮は新書、というのがショージキなところ。 本書でも触れられている『秘密の動物誌』など類書における徹底ぶり、あるいは『空想科学読本』に見られる遊び心・サービス精神が欠けている。 “どのようなホラを吹くか”と“どのように科学的…

『植物怪異伝説新考(下)』日野巌(中公文庫BIBLIO〈異の世界〉)★★★☆☆

古典籍に記されている突然変異や奇形についての考察を集めた『植物怪異伝説新考』の後半です。下巻には「妖異篇」があるので期待したのだけれど、基本的には上巻と同じような地味な研究でした。 著者はもともと妖怪研究家などではなく植物学者であって、本書…

『植物怪異伝説新考(上)』日野巌(中公文庫BIBLIO〈異の世界〉)★★★☆☆

『植物怪異伝説新考』というタイトルから、植物にまつわる妖怪や怪談を紹介して考察しているのかな、と思ったのですが、(少なくとも上巻は)古典籍に記されている突然変異や奇形についての考察でした。妖怪好きが期待するような話は下巻[bk1・amazon]の後…

『今昔続百鬼―雲』京極夏彦(講談社文庫)★★★★★

多田克己氏と村上健司氏を名前と外見のモデルにしたこのシリーズは、石燕の創作妖怪がモチーフとなっています。創作なんだから当然、創作される以前の歴史は背負ってない。ゆえに京極堂シリーズでは確かに使いづらいのかなぁという気もします。サブタイトル…

『続・妖怪図巻』湯本豪一編著(国書刊行会)★★★★☆

タイトルは『続・妖怪図巻』だけれど、編者は『妖怪図巻』[bk1・amazon]の多田克己氏ではなく、『妖怪百物語絵巻』[bk1・amazon]の湯本豪一氏。『妖怪百物語絵巻』は「蕪村妖怪絵巻」目当てで買ったんだけれど、目当て以外の作品は子どもの落書きみたい…

『稲生物怪録絵巻集成』(国書刊行会)★☆☆☆☆

本邦初紹介となる絵巻を含め、絵巻絵入写本・絵本あわせて8本を、オールカラーでこの1冊に完全収録。 残念だけれど人を選ぶ作品です。正直、『稲生』のどこが面白いのかわかりませんでした。物語もどうってことないし、絵的にも魅力なし。むしろ付録扱いさ…

『妖怪文藝〈巻之壱〉 モノノケ大合戦』東雅夫・編

最初に発売案内を見たときは、「妖怪文藝」とはなんぞや? と思いましたが、つまるところ「妖怪小説・エッセイ等」のアンソロジーです。「月は沈みぬ」南條範夫――これぞモノノケ大合戦。忍法帳のように、異能の者たちがそれぞれの特殊能力を尽くして戦う娯楽…


防犯カメラ