『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン/伊東守男訳(ハヤカワepi文庫)★★★☆☆

『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン/伊東守男訳(ハヤカワepi文庫)★★★☆☆ 『L'Écume des jours』Boris Vian,1947年。 タイトルの『L'Écume des jours』は直訳すれば『日々の(濁った白い)泡』ですが、例えば「écume de la société」で「社会のクズ、最下…

『約束の果て 黒と紫の国』高丘哲次(新潮文庫)★☆☆☆☆

『約束の果て 黒と紫の国』高丘哲次(新潮文庫) 2019年の日本ファンタジーノベル大賞受賞作「黒よりも濃い紫の国」改題作品。 『百年の孤独』のラストを連想させるようなプロローグ。 存在しない国の名が記された遺物という、ボルヘスじみた導入部。 これだ…

『稲垣足穂全集13 タルホ拾遺』稲垣足穂(筑摩書房)★★☆☆☆

『稲垣足穂全集13 タルホ拾遺』稲垣足穂(筑摩書房) 『CLASSIQUES DE INAGUAQUI TAROUPHO 13』2001年。 タイトル通りの拾遺集。全集収録作決定後に見つかった単行本未収録作、別作品と見なせるヴァリアント、他者の作品を下敷きにした作品、が収録されてい…

『エステルハージ博士の事件簿』アヴラム・デイヴィッドスン/池央耿訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉)★★★☆☆

『エステルハージ博士の事件簿』アヴラム・デイヴィッドスン/池央耿訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉) 『The Enquiries of Doctor Eszterhazy』Avram Davidson,1975年。 「眠れる童女、ポリー・チャームズ」(Polly Charms, The Sleeping Wo…

『天使』須永朝彦(国書刊行会)★★☆☆☆

『天使』須永朝彦(国書刊行会) 2010年刊行の須永朝彦自選集。 基本的にはスターシステムとでも言えばいいのか、吸血鬼、天使、美青年、金髪碧眼、同性愛etc.といった要素を持つ者たちが入れ替わり立ち替わり登場し、なかにはR公爵や爵《ジャック》といっ…

『復活の儀式(上・下)』T・E・D・クライン/大瀧啓裕訳(創元推理文庫)★★☆☆☆

『復活の儀式(上・下)』T・E・D・クライン/大瀧啓裕訳(創元推理文庫) 『The Ceremonies』T. E. D. Klein,1984年。 英国幻想文学大賞を受賞したホラー作品ではありますが、軸になるエピソードの一つは、ゴシック小説についての論文を書くため田舎で…

『新編 怪奇幻想の文学2 吸血鬼』紀田順一郎・荒俣宏監修/牧原勝志編(新紀元社)★★★★☆

『新編 怪奇幻想の文学2 吸血鬼』紀田順一郎・荒俣宏監修/牧原勝志編(新紀元社) 『Tales of Horror and Supernatural 2 Vampires』2022年。 旧版『真紅の法悦』収録作は二篇だけ。それも新訳と改訳されています。また、本書には案内書であることとは「別…

『文学の極意は怪談である 文豪怪談の世界』東雅夫(筑摩書房)★★☆☆☆

『文学の極意は怪談である 文豪怪談の世界』東雅夫(筑摩書房) ちくま文庫の〈文豪怪談傑作選〉シリーズの副読本のような書籍ですが、評論とも紹介とも違う中途半端さは否めません。 アーサー・シモンズは、「文学でもっとも容易な技術は、読者に涙を流させ…

『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』H・P・ラヴクラフト/南條竹則訳(新潮文庫)★★☆☆☆

『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』H・P・ラヴクラフト/南條竹則訳(新潮文庫) 『The Shadow over Innsmouth and Other Stories』Howard Phillips Lovecraft。 新訳を機に苦手なラヴクラフトに何度目かの挑戦をしました。新訳だけあって読みやすい…

『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』橋本勝雄編訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』橋本勝雄編訳(光文社古典新訳文庫) 『I racconti fantastici dell'Ottocento italiano』 珍しいことに、19世紀イタリアの怪奇幻想短篇9篇が収録されています。19世紀イタリアの幻想文学が少ないことについては、解説でイ…

『ほかの惑星への気楽な旅』テッド・ムーニイ/中村融訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉)★★☆☆☆

『ほかの惑星への気楽な旅』テッド・ムーニイ/中村融訳(河出書房新社〈ストレンジ・フィクション〉) 『Easy Travel To Other Planets』Ted Mooney,1981年。 過剰な刺激に身体を蝕まれる「情報病」が蔓延し、その一方で、テレパシーが発達しているいびつ…

『ししりばの家』澤村伊智(角川ホラー文庫)★★★★☆

『ししりばの家』澤村伊智(角川ホラー文庫) 親本2017年刊行。 比嘉姉妹シリーズ第三作。小学三年生のころの琴子と比嘉一家を変えてしまった事件です。 学級委員長だった僕は、「比嘉さんと仲良くしてあげてね」という先生の言葉に従い、橋口の家にファミコ…

『香水 ある人殺しの物語』パトリック・ジュースキント/池内紀訳(文春文庫)★★★☆☆

『香水 ある人殺しの物語』パトリック・ジュースキント/池内紀訳(文春文庫) 『Das Parfum, Die Geschichte eines Mörders』Patrick Süskind,1985年。 一ページ目から臭い臭いと連呼されるなかで生まれた匂いのない赤ん坊。ジャン゠バプティスト・グルヌ…

『などらきの首』澤村伊智(角川文庫)★★★☆☆

『などらきの首』澤村伊智(角川文庫) 比嘉姉妹シリーズ第4作にして初の短篇集。初版(?)のカバーはホラー文庫特有の趣味の悪いイラストではなく、『ぼぎわんが、来る』映画化に伴う文字だけ仕様のものです。 「ゴカイノカイ」(2018)★★★☆☆ ――五十平米…

『新編 怪奇幻想の文学1 怪物』紀田順一郎・荒俣宏監修/牧原勝志編(新紀元社)★★★☆☆

『新編 怪奇幻想の文学1 怪物』紀田順一郎・荒俣宏監修/牧原勝志編(新紀元社) むかし新人物往来社から出ていた『怪奇幻想の文学』全7巻の企画を踏襲し、新たに編み直したもの。すべて新訳・改訳。 「変化」メアリ・シェリー/和爾桃子訳(Transformatio…

『《ドラキュラ紀元》 われはドラキュラ――ジョニー・アルカード(下)』キム・ニューマン/鍛治靖子(アトリエサード)★★★☆☆

『《ドラキュラ紀元》 われはドラキュラ――ジョニー・アルカード(下)』キム・ニューマン/鍛治靖子(アトリエサード) 『Anno Dracula: Johnny Alucard』Kim Newman,2013年。 後半に入ってだんだんと盛り上がってはきましたが、長篇三部作と比べると、やは…

『《ドラキュラ紀元》 われはドラキュラ――ジョニー・アルカード(上)』キム・ニューマン/鍛治靖子(アトリエサード)★★☆☆☆

『《ドラキュラ紀元》 われはドラキュラ――ジョニー・アルカード(上)』キム・ニューマン/鍛治靖子(アトリエサード) 『Anno Dracula: Johnny Alucard』Kim Newman,2013年。 創元版では刊行されていなかった第四作は、ドラキュラ紀元シリーズ初の(連作)…

『シャドウランド(上・下)』ピーター・ストラウブ/大瀧啓裕訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『シャドウランド(上・下)』ピーター・ストラウブ/大瀧啓裕訳(創元推理文庫) 『Shadowland』Peter Straub,1980年。 語り手の「ぼく」が二十年以上前の高等部時代の友人たちのことを本にした、という体裁の小説です。 カースン学院は二流であることを隠…

『世界が終わるわけではなく』ケイト・アトキンソン/青木純子訳(東京創元社 海外文学セレクション)★☆☆☆☆

『世界が終わるわけではなく』ケイト・アトキンソン/青木純子訳(東京創元社 海外文学セレクション) 『Not the End of the World』Kate Atkinson,2002年。 ゆるく繫がる12のシュールで奇妙な短篇が収められています。 「母さんの誕生日プレゼントを買いた…

『ゴースト・ストーリー(上・下)』ピーター・ストラウブ/若島正訳(ハヤカワ文庫NV)★★☆☆☆

『ゴースト・ストーリー(上・下)』ピーター・ストラウブ/若島正訳(ハヤカワ文庫NV) 『Ghost Story』Peter Straub,1979年。 作家のドン・ワンダレーがアンジー・モールと自称する少女を誘拐して移動するロード・ムービーのような序章から本書はスター…

『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ/平井呈一訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ/平井呈一訳(創元推理文庫) 『Carmilla and Other Stories』Joseph Sheridan Le Fanu,1839。 「白い手の怪――「墓畔の家」より――」(Narrative of the Ghost of a Hand,1861)★★★☆☆ ――プロッサー夫妻が屋敷から引き揚げて…

『幻想と怪奇』17【幽霊のいる暮らし】(新紀元社)

『幻想と怪奇』17【幽霊のいる暮らし】(新紀元社)「現代世界幻想文学選・中華人民共和国」 「恋猫記」蔡駿/舩山むつみ訳(恋猫记,蔡骏,2003?)★★☆☆☆ ――屋根の上に猫が一匹いる。雪のように真っ白な猫で、尻尾の先にだけ、赤い点がいくつかある。ぼくの…

『高原英理恐怖譚集成』高原英理(国書刊行会)★★☆☆☆

『高原英理恐怖譚集成』高原英理(国書刊行会) 著者には幻想小説を期待していましたが、ホラーばかりで好みに合いませんでした。 「Ⅰ」「町の底」(2009)★★☆☆☆ ――近辺を歩いていると、後ろから顔の半分ない子供がついてくる、という都市伝説があると最近知…

『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』ジェローム・K・ジェローム/中野善夫訳(国書刊行会)★★★☆☆

『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』ジェローム・K・ジェローム/中野善夫訳(国書刊行会)「食後の夜話」(Told After Supper,Jerome Klapka Jerome,1891)★★★☆☆ ――クリスマス・イヴのことだった。僕たちは夕食を終え、煙草を吸いながら話をし…

『ヒッチコック劇場 第二集1』(ユニバーサル)★★★☆☆

『ヒッチコック劇場 第二集1』(ユニバーサル)「兇器」(Lamb to the Slaughter,1958)★★★☆☆ ――メアリーは献身的な妻だった。しかしある日、“愛人がいるので別れたい”と夫から突然告げられ…カッとなったメアリーは衝動的に夫を殺してしまう。そして、夫が…

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明(光文社文庫)

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明(光文社文庫) 同名短篇集より、世評の高い表題作だけ読みました。「独白するユニバーサル横メルカトル」(2005)★★★☆☆ ――私は国土地理院発行のユニバーサル横メルカトル図法による地形図延べ百九十七枚によっ…

『幻想と怪奇』16【ホラー×ミステリ ホームズのライヴァルたち・怪奇篇】

『幻想と怪奇』16【ホラー×ミステリ ホームズのライヴァルたち・怪奇篇】「現代世界幻想文学選・シリア」 「ムスタファー・タージュッディーン・ムーサー超短編選」森晋太郎 選・訳(مصطفى تاج الدين موسى(Muṣṭafā Tāji al-Dīn al-Mūsā))★★★☆☆ 『虐殺の花束…

『おはしさま 連鎖する怪談』三津田信三・薛西斯・夜透紫・瀟湘神・陳浩基/玉田誠訳(光文社)☆☆☆☆☆

『おはしさま 連鎖する怪談』三津田信三・薛西斯・夜透紫・瀟湘神・陳浩基/玉田誠訳(光文社)『筷:怪談競演奇物語』2020年。 台湾の出版社の企画による、台湾・香港・日本の作家による「箸」がテーマのホラーミステリ競作集――のはずなのですが、あとがき…

『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『猫のまぼろし、猫のまどわし』東雅夫編(創元推理文庫) 怪奇・幻想・ファンタジーのなかから猫が題材のものを選んだアンソロジー。似たような作品が集まるのは避けられないし、関連作品として類話や元ネタを並べてある場合もありますが、基本的に「化ける…

『平成怪奇小説傑作集3』東雅夫編(創元推理文庫)★★★☆☆

『平成怪奇小説傑作集3』東雅夫編(創元推理文庫)「成人」京極夏彦(2008)★★★★☆ ――「『人形のどうぐ』 四年三組□□。ひなまつりです。ぼくは五人ばやしが、すきです。」続いて高校生による文を掲げる。「友達のAの家に行ったのは一度きりである。隣の部屋…


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