『琥珀捕り』キアラン・カーソン/栩木伸明訳(東京創元社 海外文学セレクション/創元ライブラリ)★★★★☆

『琥珀捕り』キアラン・カーソン/栩木伸明訳(東京創元社 海外文学セレクション/創元ライブラリ) 『Fishing For Amber』Ciaran Carson,1999年。 父親のように話せたらどんなにいいだろう……という語り手の述懐から話は始まります。そんな父親が話したのは…

『死者の饗宴』ジョン・メトカーフ/横山茂雄・北川依子訳(国書韓国会〈ドーキー・アーカイヴ〉)★★☆☆☆

『死者の饗宴』ジョン・メトカーフ/横山茂雄・北川依子訳(国書韓国会〈ドーキー・アーカイヴ〉) 『The Feasting Dead』John Metcalfe,2019年。 日本オリジナル短篇集。前半にクセのある作品、後半に普通の作品が収められています。クセのある前半の話と…

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会)★★★☆☆

『龍蜂集 澁澤龍彦泉鏡花セレクションI』泉鏡花/澁澤龍彦編/山尾悠子解説/小村雪岱装釘(国書刊行会) 泉鏡花の再評価前、全集も品切れだったころ、種村季弘と澁澤龍彦による鏡花選集の企画が立ち上がったものの、企画は途中で立ち消えとなり、澁澤によ…

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫)★★★☆☆

『恐怖小説キリカ』澤村伊智(講談社文庫) おばけの出てくるホラーを見下す編集者の依頼によって書かれた、一番怖いのは人間だという小説――という体裁の小説です。 日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智の周りで起こる恐ろしい出来事が描かれます。 第一部…

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】

『幻想と怪奇』10【イギリス怪奇紳士録 英国怪談の二十世紀】「A Map of Nowhere 09:ブラックウッド「柳」のドナウ川」藤原ヨウコウ「英国怪談・十五人の紳士」「時計の怪/酒蔵の妖魔」蘆谷重常(『インゴルズビー伝説』より)★★☆☆☆ ――「時計を御覧なさい。…

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社)★★★☆☆

『ガール・イン・ザ・ダーク 少女のためのゴシック文学館』高原英理編著(講談社) 長年にわたってゴシック関連の仕事をしてきた著者の、ゴシック文学アンソロジー。 「獣」モーリーン・F・マクヒュー/岸本佐知子訳(The Beast,Maureen F. McHugh,1992)…

『幻想と怪奇 傑作選』紀田順一郎・荒俣宏監修(新紀元社)★★☆☆☆

『幻想と怪奇 傑作選』紀田順一郎・荒俣宏監修(新紀元社) 伝説の雑誌の復刊に伴う前夜祭のようなもので、休刊前の本誌から抜粋した傑作選ですが、特にエッセイに古くさいものが多いのは否めません。 「『幻想と怪奇』、なお余命あり」紀田順一郎 『幻想と…

『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス/安藤哲行訳(河出書房新社)★★★★★

『わたしたちが火の中で失くしたもの』マリアーナ・エンリケス/安藤哲行訳(河出書房新社) 『Las cosas que perdimos en el fuego』Mariana Enriquez,2016年。 アルゼンチンの〈ホラー・プリンセス〉による短篇集。帯にケリー・リンクの惹句掲載。解説に…

『おろしてください』有栖川有栖作/市川友章絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん12)★★★★☆

『おろしてください』有栖川有栖作/市川友章絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん12) 有栖川有栖らしい鉄道怪談です。 道に迷った少年が化物たちの世界に紛れ込んでしまうというオーソドックスな内容ながら、動物や怪物のイラストで知られる市川氏の絵が不気…

『幻想と怪奇』9【ミステリーゾーンへの扉 「奇妙な物語」の黄金時代】

『幻想と怪奇』9【ミステリーゾーンへの扉 「奇妙な物語」の黄金時代】「A Map of Nowhere 08:「歩いていける距離」のホームウッド」藤原ヨウコウ「ファンタスティック・マガジン 1940s〜1960s」 「ブレンダ」マーガレット・セント・クレア/森沢くみ子訳(B…

『芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚』澤西祐典・柴田元幸編訳(岩波書店)★★★★☆

『芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚』澤西祐典・柴田元幸編訳(岩波書店) 芥川が英語読本に採用した全51編のなかから、選りすぐって新訳した作品集。 「I The Modern Series of English Literatureより」「身勝手な巨人」オスカー・ワイルド/畔柳和代訳(The…

『未來のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン/齋藤磯雄訳(創元ライブラリ)★★★★☆

『未來のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン/齋藤磯雄訳(創元ライブラリ) 『L'Ève future』Villiers de l'Isle-Adam,1886年。 アンドロイドという言葉を初めて用いた小説とされていますが、そこはヴィリエ・ド・リラダンのこと、退廃的で耽美で観念的な内容が…

『榲桲(マルメロ)に目鼻のつく話』泉鏡花/中川学(河出書房新社)★★★★☆

『榲桲(マルメロ)に目鼻のつく話』泉鏡花/中川学(河出書房新社) 中川学による泉鏡花絵本シリーズ第4段。 泉鏡花のあの独特のリズムの文体ではなく、語り手の知り合いの中尉・乾三が子どもの頃に体験したという話が、ごく普通の平易な文章で綴られてい…

『言葉人形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』ジェフリー・フォード/谷垣暁美編訳(東京創元社)★★★★☆

『言葉人形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』ジェフリー・フォード/谷垣暁美編訳(東京創元社) 世界幻想文学大賞ほか各賞を受賞しているジェフリー・フォードの日本オリジナル編短篇集。編訳者もあとがきで書いていますが、久しぶりの邦訳作品です。「創…

『幻想と怪奇』8【魔女の祝祭 魔法と魔術の物語】

「A Map of Nowhere 07:「若いグッドマン・ブラウン」のセイラム」藤原ヨウコウ「〈幻想と怪奇〉アートギャラリー 魔女の伝承とイメージ」 ――「若いグッドマン・ブラウン」ナサニエル・ホーソーン/植草昌実訳(Young Goodman Brown,Nathaniel Hawthorne,1…

『まほり』高田大介(角川書店)★★★★☆

異世界が舞台の『図書館の魔女』とは違い、現代日本が舞台の民俗学ホラーミステリでした。 淳は妹の喘息のため田舎の祖母宅に引っ越していた。山奥で着物姿の少女を見かけ、強い印象を受ける。祖母に言わせると、その少女は「馬鹿」だという。障害のある少女…

『屍人荘の殺人』今村昌弘(創元推理文庫)★★★★☆

『Murders at the House of Death』2017年。 各種ベスト10で四冠を達成したという、驚異のデビュー作です。第27回鮎川哲也賞受賞。 まずは映画研究部の合宿に届けられた脅迫状という、古式ゆかしい舞台が用意されていました。語り手・葉村の先輩である明智…

『ずうのめ人形』澤村伊智(角川ホラー文庫)★★★★★

2016年初刊。 『ぼぎわんが、来る』に続く、比嘉姉妹もの第二作です。 本書は『リング』を意識したものになっており、『リング』が映画化されて貞子が市民権を得ている、現実と変わらない世界が舞台になっていました。 オカルト雑誌のライター湯水が目を抉ら…

『不在の騎士』イタロ・カルヴィーノ/米川良夫訳(白水Uブックス 海外小説永遠の本棚)★★★★★

『不在の騎士』イタロ・カルヴィーノ/米川良夫訳(白水Uブックス 海外小説永遠の本棚) 『Il cavaliere inesistente』Italo Calvino,1959年。 鎧のなかに肉体は存在せず意思の力によって存在している――という観念的な設定からは思いも寄らないユーモア小…

『ザ・ロード』コーマック・マッカーシー/黒原敏行訳(ハヤカワepi文庫)★★★★★

『ザ・ロード』コーマック・マッカーシー/黒原敏行訳(ハヤカワepi文庫) 『The Road』Cormac McCarthy,2006年。 荒廃した世界で旅を続けながら生きてゆく父と息子の物語です。 いわゆる終末ものの多くで描かれるのが、変容してしまった世界であったりサバ…

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)★★★☆☆

『文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 霊』東雅夫編/金井田英津子絵(汐文社)「あれ」星新一(1975)★★★★☆ ――あるホテルの一室で、出張中の男が眠っていた。静かな真夜中。男はふと寒気を感じて目をさました。そばに人のけはいを感じる。一メートルほどはな…

『図書館の魔女 烏の伝言(上・下)』高田大介(講談社文庫)★★★★★

『図書館の魔女 烏の伝言(上・下)』高田大介(講談社文庫)★★★★★ 『図書館の魔女』の続編は、マツリカもキリヒトも出てこない場面からスタートします。前作での混乱によりニザマ国の一姫君と近衛兵たちが山の民・剛力の力を借りて亡命行の真っ最中でした。…

『幻想と怪奇』7【ウィアード・テールズ 恐怖と冒険の王国】

『幻想と怪奇』7【ウィアード・テールズ 恐怖と冒険の王国】「『ウィアード・テールズ』――ある雑誌の歴史と、表紙画家たちの横顔」 パルプ雑誌のカバーワークの良さはよくわかりません。 「パルプ・ホラーが映しだすもの」牧原勝志 「レッドフック街怪事件…

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー/井上里訳(創元推理文庫)★★★★★

『ピクニック・アット・ハンギングロック』ジョーン・リンジー/井上里訳(創元推理文庫) 『Picnic At Hanging Rock』Joan Lindsay,1967年。 カルト的人気の名作映画の原作、初の邦訳ということですが、映画自体が1975年作で本邦公開が1986年とかなり昔の…

『まどのそと』佐野史郎作/ハダタカヒト絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん)★★★★☆

『まどのそと』佐野史郎作/ハダタカヒト絵/東雅夫編(岩崎書店 怪談えほん) 怪談えほん第三期、第一回配本。 かたかたかた……まどがかたかたなっている。かぜがふいているのかな。かーてんあけてみたけれど、そとの葉はゆれていない。「もうおねむのじかん…

『色町のはなし 両国妖恋草紙』長島槇子(メディアファクトリー)★★★★☆

『色町のはなし 両国妖恋草紙』長島槇子(メディアファクトリー) 2010年刊。『遊郭のはなし』に続く『幽』怪談文学賞受賞第一作ですが、前作とは段違いに面白くなっています。 恐らく前作は「遊廓に伝わる」「怪談」の「聞き語り」の「連作集」という形式に…

『遊郭《さと》のはなし』長島槇子(メディアファクトリー)★★☆☆☆

『遊郭《さと》のはなし』長島槇子(メディアファクトリー) 2008年刊。第2回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞受賞作。 長篇とはいえ実質的には掌篇のつらなりで、読売屋が遊廓「百燈楼」の元女中から聞いた赤い櫛の怪異を皮切りに、「百燈楼」のその後を知…

『幻想と怪奇』6【夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館】(新紀元社)

『幻想と怪奇』6【夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館】(新紀元社)〈幻想と怪奇〉アートギャラリー ヨハン・ハインリヒ・フュースリー」 『夢魔』のヴァリアントなど。 「A Map of Nowhere 06:「詩と神々」のパルナッソス山」藤原ヨウコウ「詩と神々」H・…

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV)★★★★☆

『地球最後の男』リチャード・マシスン/田中小実昌訳(ハヤカワ文庫NV) 『I Am Legend』Richard Matheson,1954年。 自分以外の全人類が吸血鬼と化してしまった世界で、絶望と戦いに明け暮れる男の日々を描いた古典的名作です。今は数年前の映画化に合わせ…

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫)★★★★☆

『忘れられた花園』(下)ケイト・モートン/青木純子訳(創元推理文庫) 『The Forgotten Garden』Kate Morton,2008年。 デュ・モーリアの名前が出されているのは、せいぜいのところゴシック・ロマンス風なところがあるからだと思っていましたが、下巻はし…


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