『ドラキュラ紀元一九一八 鮮血の撃墜王』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(新紀元社)

『ドラキュラ紀元一九一八 鮮血の撃墜王』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(新紀元社) 『Anno Dracula: The Bloody Red Baron』Kim Newman,1995/2012年。 増補完全版第二弾。『ドラキュラ戦記』からは割愛されていた一章が追加されたほか、書き下ろし中篇や…

『ドラキュラ紀元一八八八』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(アトリエサード)

『ドラキュラ紀元一八八八』キム・ニューマン/鍛冶靖子訳(アトリエサード) 『Anno Dracula』Kim Newman,1992/2011年。 創元推理文庫から出ていた『ドラキュラ紀元』の増補完全版。 『ドラキュラ紀元一八八八』(Anno Dracula,1992) 改訳はされているも…

『モップの精は旅に出る』近藤史恵(実業之日本社文庫)★★★★☆

『モップの精は旅に出る』近藤史恵(実業之日本社文庫) キリコ・シリーズ第五作にして最終巻。以前のイラストレーター(飯田貴子)の描いたキリコの方が作中の描写に忠実だったのですが、別のかたに変わってしまいました。 「CLEAN.1 深夜の歌姫」(2014)★…

『中野のお父さん』北村薫(文春文庫)★★☆☆☆

『中野のお父さん』北村薫(文春文庫) 出版社に勤める女性編集者が、謎解きの得意な高校教師の父親に日常の謎を解いてもらう連作掌篇集です。分量から言っても内容から言ってもとにかく軽い。 円紫さんシリーズの〈私〉はまだ大学生だったので、初めて人間…

『七夜物語(上・中・下)』川上弘美(朝日文庫)★★☆☆☆

『七夜物語(上・中・下)』川上弘美(朝日文庫) 川上弘美による児童文学。 クラスメイトとはうまくつきあっているけれど、本が好きなことは隠している小学四年生の鳴海さよ。エキセントリックで嫌いなものが多い母親にも図書館通いを隠しています。離婚し…

『ミステリマガジン』2023年11月号No.761【ポケミス創刊70周年記念特大号】

『ミステリマガジン』2023年11月号No.761【ポケミス創刊70周年記念特大号】「特別鼎談 ポケミス創刊70周年によせて」平岡敦×杉江松恋×阿津川辰海 そういえば最近ポケミスあんまり読んでないかも。阿津川氏が装丁も内容も褒めていた『アックスマンのジャズ』…

『傍聞き(かたえぎき)』長岡弘樹(双葉文庫)★★☆☆☆

『傍聞き(かたえぎき)』長岡弘樹(双葉文庫) 日本推理作家協会賞受賞作を含む純粋な短篇集です。あまりにもわざとらしすぎる構成を、巧みだと取るか大根役者だと取るかで評価は別れそうです。 「迷走」(2008)★★★☆☆ ――消防無線のアラームが鳴り、現場へ…

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫)★★☆☆☆

『心のなかの冷たい何か』若竹七海(創元推理文庫) 『Something Cold in My Heart』1991年。 若竹七海の第二作。『ぼくのミステリな日常』と同じく作者と同名の若竹七海が主人公のシリーズです。 女同士の友情から事件の真相を明らかにしようと奮闘する姿は…

『群青のタンデム』長岡弘樹(ハルキ文庫)★★★☆☆

『群青のタンデム』長岡弘樹(ハルキ文庫)★★★☆☆ 警察学校同期でライバルだった戸柏耕史と陶山史香の二人の、つかず離れず共に歩んだ警察官人生を描いた連作長篇。初出は『月刊ランティエ』2010年4月号〜2012年5月号。 「第一話 声色」★★★☆☆ ――パナマ帽の老…

『線の波紋』長岡弘樹(小学館文庫)★★☆☆☆

『線の波紋』長岡弘樹(小学館文庫) 誘拐事件と殺人事件を巡る四篇を収めた連作長篇です。 「談合」★★☆☆☆ ――県庁に勤める白石千賀は再婚して以来たびたび疑問を抱いてしまう。三つ年下の哲也はこんなくたびれた中年女に本当に愛情を抱いているのだろうか。…

『ハロー、アメリカ』J・G・バラード/南山宏訳(創元SF文庫)★★★★☆

『ハロー、アメリカ』J・G・バラード/南山宏訳(創元SF文庫) 『Hello America』J. G. Ballard,1981年。 気候の大変動により灼熱の砂漠と化して崩壊したアメリカ。放射能漏れの原因究明と残された資源を求めてヨーロッパからニューヨークに上陸した探…

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆

『家蠅とカナリア』ヘレン・マクロイ/深町眞理子訳(創元推理文庫)★☆☆☆☆ 『Cue for Murder』Helen McCloy,1942年。 解説にも書かれているようにサスペンス派という印象の強かったマクロイですが、本書は至極まっとうな謎解きものでした。 刃物研磨店に夜…

『紙魚の手帖』vol.12 2023 AUGUST【GENESiS 夏のSF特集】

『紙魚の手帖』vol.12 2023 AUGUST【GENESiS 夏のSF特集】「第14回創元SF短編賞 選評」宮澤伊織・小浜徹也(東京創元社編集部)「竜と沈黙する銀河」阿部登龍(2023)★★☆☆☆ ――遙か宇宙の知的文明から届いた〈レコード〉により食糧問題は解決し、家畜は愛玩…

『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』小泉喜美子(中公文庫)★★★☆☆

『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』小泉喜美子(中公文庫)★★★☆☆ 同題の短篇集に単行本未収録だったショートショート集を収録して復刊したものです。『痛みかたみ妬み』が好評だったための復刊第二弾とのこと。編者による解説と、山崎まどかによ…

『文学少女対数学少女』陸秋槎/稲村文吾訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★☆☆☆

『文学少女対数学少女』陸秋槎/稲村文吾訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) 『文学少女对数学少女』陆秋槎,2019年。 これまでの二作と比べて訳が格段に読みやすくなっています。訳者の腕が上がったのか、高校生同士の会話劇だと訳しやすいのか。 ただ内容はこれ…

『あと十五秒で死ぬ』榊林銘(東京創元社 ミステリ・フロンティア)★★★☆☆

『あと十五秒で死ぬ』榊林銘(東京創元社 ミステリ・フロンティア) ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」を筆頭に、何らかの形で「あと十五秒で死ぬ」状況にある作品4篇が収録された短篇集です。そのため「たのしい学習麻雀」は収録されていません。 「十五…

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫)★★★★☆

『幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集』柴田錬三郎(創元推理文庫) 『A Ghost Gentleman/Bizarre Tales』1960年/1961年。 幽霊紳士を狂言回しにしたミステリ集『幽霊紳士』と、奇譚集『異常物語』の合本です。『花嫁首 眠狂四郎ミステリ傑作選』は…

『ミステリマガジン』2023年9月号No.760【追悼 原尞】

『ミステリマガジン』2023年9月号No.760【追悼 原尞】『それからの昨日』冒頭三章 三章までしか書かれていない遺稿です。とはいえプロットはある程度出来ているようなので、いつか誰かが書き継いでくれるでしょう。 「追悼エッセイ」法月綸太郎・木村二郎他…

『時のきざはし 現代中華SF傑作選』立原透耶編(新紀元社)★★★☆☆

『時のきざはし 現代中華SF傑作選』立原透耶編(新紀元社) 『The Stairway of the Time: An Anthology of Chinese Contemporary Science Fiction』2020年。 日本オリジナル編集の中華SF傑作選。「太陽に別れを告げる日」江波《ジアン・ボー》/大久保洋…

『千霊一霊物語』アレクサンドル・デュマ/前山悠訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

『千霊一霊物語』アレクサンドル・デュマ/前山悠訳(光文社古典新訳文庫) 『Les Mille et un fantômes』Alexandre Dumas,1849年。 角川文庫の怪奇小説アンソロジーに「蒼白の貴婦人」が単独で訳載されていたので、てっきり本書も怪奇小説短篇集だと思い込…

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆

『短編ミステリの二百年2』チャンドラー、アリンガム他/小森収編/猪俣美江子他訳(創元推理文庫)★★★☆☆「挑戦」バッド・シュールバーグ/門野集訳(The Dare,Budd Schulberg,1949)★★★☆☆ ――ポールは海を見つめていた。モーターボートと水上スキーの娘が…

『紙魚の手帖』vol.11

『紙魚の手帖』vol.11『いさなとり』(1)熊倉献 ――代々ハンターの家系のぼくは、将来、普通に暮らしたかった……。 『春と盆暗』『生花甘いかしょっぱいか』『ブランクスペース』の熊倉献による新連載。ハンターが獲物になってしまう普通じゃなさと、ポテトサ…

『S-Fマガジン』2023年8月号No.758【《マルドゥック》シリーズ20周年】

『S-Fマガジン』2023年8月号No.758【《マルドゥック》シリーズ20周年】「《マルドゥック》シリーズ20周年」 「カバーイラストギャラリー」 「『マルドゥック・アノニマス』精神の血の輝きを追い続けて」冲方丁 「20周年対談」冲方丁×寺田克也 「『マルド…

『幻の「長くつ下のピッピ」』高畑勲×宮崎駿×小田部羊一(岩波書店)★★★★☆

『幻の「長くつ下のピッピ」』高畑勲×宮崎駿×小田部羊一(岩波書店) 高畑勲は1968年の映画『太陽の王子 ホルスの大冒険』の制作が遅れ興行的にも失敗したことで、東映動画での将来が絶たれてしまいます。しかし1971年、東京ムービーの制作会社Aプロダクシ…

『美女と竹林のアンソロジー』森見登美彦リクエスト!(光文社文庫)★★☆☆☆

『美女と竹林のアンソロジー』森見登美彦リクエスト!(光文社文庫) 森見登美彦編纂の本書のテーマは美女と竹林。そのまんまです。森見登美彦にしか編纂できないアンソロジーではあります。 「来たりて取れ」阿川せんり(2018)★★★☆☆ ――北海道に竹林はない…

『ジュスタ』パウル・ゴマ/住谷春也訳(松籟社 東欧の想像力18)★★☆☆☆

『ジュスタ』パウル・ゴマ/住谷春也訳(松籟社 東欧の想像力18) 『Justa』Paul Goma,1995年。 ルーマニアの作家。 本書は二つの点で難解です。一つはリズミカルとも言えるような独特の文体と細かい説明を廃した文章であり、もう一つがルーマニアの歴史に…

『夏休みの拡大図』小島達矢(双葉文庫)★★☆☆☆

『夏休みの拡大図』小島達矢(双葉文庫) 印象的なタイトルは、登場人物の一人であるちとせの一言「夏休みって人生の縮図だと思うんだ」(p.185)と、それに対する語り手・百合香のアンサー「だって夏休みが終わったらさ、二学期が始まるじゃない」(p.279)…

『英語文章読本』阿部公彦(研究社)★★☆☆☆

『英語文章読本』阿部公彦(研究社) 文章読本とはあるものの、作文指南でも名文案内でもなく、英文の特徴をとっかかりにした作品鑑賞というべきものです。同じ著者による『英詩のわかり方』と同様、わかりやすく書こうとしているのか却ってまどろっこしく、…

『ミステリマガジン』2023年7月号No.759【アガサ・クリスティーの魔力】

『ミステリマガジン』2023年7月号No.759【アガサ・クリスティーの魔力】「見知らぬ人」アガサ・クリスティー/羽田詩津子訳(The Stranger,Agatha Christie,1932) ――婚約者のディックが何年かぶりに帰国するというのに、エニドの心は晴れなかった。不幸せ…

『トラベル・ミステリー聖地巡礼』佳多山大地(双葉文庫)★★☆☆☆

『トラベル・ミステリー聖地巡礼』佳多山大地(双葉文庫) 名作トラベル・ミステリーの現場を訪れ、現地に則して作品を紹介しつつ、作品の現代的意義などでまとめた紀行書評です。 好きな評論家であり、編者を務めた『線路上の殺意 鉄道ミステリ傑作選〈昭和…


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