『S-Fマガジン』2007年09月号(617号)【カート・ヴォネガット追悼特集】★★★★☆

 『S-Fマガジン』の追悼特集は本当に愛情がこもっているのでいい。ヴォネガットのインタビューのほか、池澤夏樹太田光香山リカ川上未映子沼野充義若島正巽孝之ほかのエッセイ・評論を掲載。作品案内と名言集つき。
 

「My Favorite SF」(第21回)機本伸司
 小松左京さよならジュピター

「《トランスフォーマー》――空前絶後の作品世界」
 映画化されるって聞いても、ふうん。だったんだけど、どうやらすごいらしい。
 

「Boy's Surface円城塔たぶん★★★★★
 ――“Boy's Surface”[名] 1:実射影平面の三次元空間への嵌め込み。2:青年の表面。3:この短篇の題名。(0,0) これは多分、「僕たちの初恋の物語」。それとも矢張り「初恋の不可能性を巡る物語」。数学者は僕をモルフィズムと呼ぶ。別に簡単に、変換と呼んでもらっても構わない。レフラー球。今僕らとあなたの間に浮かぶ、青く澄み透る高次元球体。この数学的構造物が、僕らの捻くれた存在様式を生み出している、僕ら自身の構造である。

 難解すぎて没になったといういわくつきの作品。SF専門誌の編集長が「全然わからない」と言うくらいなのだから、わたしに理解できるわけがない。たぶん凄いんだろう。それでもたぶんこことかこことかを参照してから読むとそれなりに無性に可笑しいんじゃないかと思う。章の数字は座標、ですかね。
 

SFセミナー2007レポート」

「SFまで100000光年 49 地球人の小荷物」水玉螢之丞
 「まるでSFみたい」というときの、想像上の「SF」について。
 

ハーメルンの笛吹き」ひらいたかこ《SF Magazine Gallary 第21回》
 おお。ハーメルンの笛吹きグレムリンに同定しているのが新鮮。
 

「『輝くもの天より堕ち』待望の邦訳刊行!」
 ティプトリーの「新刊」です。
 

「MEDIA SHOW CASE」渡辺麻紀鷲巣義明・添野知生・福井健太・飯田一史・編集部
◆映画ではトランスフォーマー』、『怪談』あたりが話題作。『アドレナリン』のバカバカしさもよさげ。「クレイジーな人間版『スピード』みたいな作品を狙った」そうです。
 

「SF BOOK SCOPE」林哲矢・千街晶之牧眞司長山靖生・他
円城塔Self-Reference ENGINE』、樺山三英『ジャン=ジャックの自意識の場合』に続き、これまた話題作伊藤計劃虐殺器官bk1amazon]刊行。佐藤亜紀氏も日記で触れてたので早速購入した。

◆半端じゃなく気になるのがゆずはらとしゆき『十八時の音楽浴』bk1amazon]。なんと海野十三ライトノベル翻案だそうである。

◆海外ものでは未来の文学『ゴーレム100』アルフレッド・ベスターbk1amazon]が出ました。ぶ厚いっす。

◆ホラーからは平山夢明ミサイルマンのほか、なんと荒俣宏『新帝都物語 維新国生み篇』が登場。

牧眞司氏が紹介しているバルザック幻想・怪奇小説選集』はとても手がでない。一冊3,500円だよ。「文豪の古典」=「二度と手に入らないっていうような吸引力がない」本でそれは高い。
 

『魔京』08朝松健

「罪火大戦ジャン・ゴーレ」(第32回)田中啓文

ゼロ年代の想像力 「失われた十年」の向こう側 03」宇野常寛★★★☆☆
 今回も駆け足の“あらすじ”紹介。次回あたりからいよいよ本論か。
 

大森望のSF観光局」09 SF編集者列伝(その2)
 今回は“新本格の生みの親”宇山氏の話。実はSF者だったそうなのです。
 

「SF挿絵画家の系譜」(連載18 武部本一郎大橋博之

「サはサイエンスのサ」151 鹿野司 ヒトの脳が大きいのは、脂肪と関係があるらしという話。面白いなあ。
 

「家・街・人の科学技術 09」米田裕
身近すぎてもはや意識していない液晶の話。

センス・オブ・リアリティ」金子隆一香山リカ
◆「穴はどこへ行った」金子隆一……何のこっちゃなタイトルですが、穴とはブラックホールのこと。そうかあれは一過性の流行りだったのか(?)。自明のこととして語られてたような気がしたが。

◆「それなら家出してほしかった」香山リカ……家出せずに家に放火した高校生の事件。父親のいないときに火をつけるというのがいかにも似非心理学者が飛びつきそうなくらいにわかりやすすぎて気持ち悪くていやだ。
 

「オレンジ色の孤島」井上裕之《リーダーズ・ストーリイ》「近代日本奇想小説史」(第62回 明治百年未来記)横田順彌
  

「MAGAZINE REVIEW」〈アシモフ〉誌《2007.2〜2007.4/5》深山めい
 

ワールドコン特集3」
 来日作家名鑑と企画リスト。
 

「パン・ブラザース監督インタビュウ」アジアン・ホラーの雄、ついにハリウッドデビュー
 裏表紙にも広告が載っている『ゴースト・ハウス』の監督インタビュー。パン・ブラザースって誰?という人でも、『the EYE[アイ]』の監督だと聞けば、ははん、と思うに違いない。やたら話題になってたものね。
 

「おまかせ!レスキュー」111 横山えいじ

「(They Call Me)TREK DADDY 第05回」丸屋九兵衛

イリュミナシオン」11 山田正紀

  S-Fマガジン 2007年 09月号 [雑誌]
 amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ