『The Beyond』Jeffrey Ford,2002年。
三部作完結編です。
二作目のもろバーチャル・リアリティな感じと比べると、一作目に近いわりと硬派な幻想小説な感じです。
一作目が正統派、二作目がエンタメ、三作目が神秘系ってベタな展開だな〜なんて思っていたら、最後の最後で見事に裏切られました。人が悪いなあと思いつつ、こういうの、大好きです。こういうところも、一作目に近い。
というかこういう仕掛けがなければ、自己探索系の話が苦手なわたしとしてはあまり楽しめなかった。
でもフォードって『白い果実』山尾悠子訳が初紹介だったから、てっきりガチガチの幻想小説作家だと思ったのに、その後紹介されるのを読んだら、実はスティーヴン・キングとかそっち系だよね。過剰なサービス精神を剛腕で押し切るところが。
物語は、廃墟で暮らしウィロウの村人たちと触れ合ってゆくミスリックスの一人称と、《彼の地》にあるものの記憶からクレイの事跡をたどる原稿が交互に綴られてゆきます。果たしてクレイは無事戻ってこられるのか、ミスリックスは人間と共存できるのか……。
薔薇色の山猫や沈黙の民といった奇怪ないきものたちと出会いながら、楽園と贖罪を求めたクレイの螺旋状の旅は、ついに終焉を迎える……。奔放なイマジネーションと諧謔奇想が横溢する、モダン・ゴシックの傑作《白い果実・三部作》、最終篇。(帯惹句より)
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