『ルバイヤット』オマル・ハイヤーム原著/ジャスティン・ハントリー・マッカーシー英訳/片野文吉訳(ちくま学芸文庫)

 「美しい文語体、散文訳」というのに惹かれて読んでみました。

 マッカーシーの英訳自体が散文訳なのですが、散文といっても「韻文」ではないという意味で散文なのであって、感覚的にジャンル分けするならやはり「詩」には変わりないでしょう。日本語で散文訳してしまうと、ほんとにただの標語集みたいになっちゃったりもするけど

355.好き評判あるは結構なり、されど「天」の不公平なることに就て不平を鳴らすは悪しきことなり。恥づべき信仰を以て誇らんよりは葡萄の血を以て酔ふに如かず。

 いいのもある。

1.悲哀を糧とし霊魂を苦しむるは、此厭ふべき地に棲息する人間の運命なり。故に此世を最も早く去れる者は幸福といふを得べく、更に此世に生れ来らざる者は最も幸福なり。

131.人は言ふ、世に地獄といふものありと。是れ信を措くに足らざる無益なる誤謬なり、何となれば若し恋人と溺酒者の為めに地獄ありとせば、我手の窪所《くぼみ》の如く明日の朝より天は空なるべければなり。
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