『ネムキ』2010年1月号(朝日新聞出版)

『念力短歌道場』(43)笹公人
 「うっとりと「別れの曲」を弾いている……」の短歌の方は演奏者が主体なのに、漫画の方は椅子が主体なのが、コラボレーションならではでした。

『毒姫』三原ミツカズ
 イスキア王子がグランドルに攻め入り、王城の「グランドル王」のもとにまでたどり着きます。

『ななめの音楽』(#5)「Skeins」川原由美子
 レース会場で他チームの操縦士たちとも知り合いに。今回は、怪談とその真相の仕掛けがちょっと物足りませんでした。不思議な乗物が登場しましたが、「リカンベント」という乗物は実在するのだと知ってびっくり。

百鬼夜行抄』「名前のない子供」今市子
 律の家で大掃除。開け放した扉から死者の行列がぞろぞろと出てゆきます。よくないものに憑かれたらしく、寝込んでしまう律のもとに……。久しぶりに赤間が登場、しかも赤間によるおじいちゃん(飯島怜)の回想という、めずらしいパターン。おじいちゃんからの縁で助けられた(ような巻き込まれたような)律でした。

『悪霊退散大作戦』「ミラクル☆ホーリーナイト」魚住かおる
 そうかクリスマス……ってことはこの人の登場なのか。ブスロリちゃん(の守護霊)にふられたイケメン(の守護霊)がブスロリちゃんと付き合いたくてみちるに相談にやってきます。

『時間の歩き方』榎本ナリコ
 いよいよ小説家の睡眠(?)装置を解除したところ……。こうしたサイド・ストーリーを積み重ねてゆくのか、小説家の事件が元に戻る方法と関わっているのか、次回を待て!

『謎のあの店』
 銭湯「浅草観音温泉」。いたずら小僧みたいな最後のコマがものすごく楽しそうです。

『りんたとさじ』「見た人」オガツカヅオ
 回を増すごとにどんどん凄くなっています。家政婦のバイトで訪れた先では、夜になると赤ちゃんが「何か」を見て喜んでいました。死んだ父があやしに来ているのではないかというのですが……。このシリーズは「怖い話」とはちょっと違うものが多かったのですが、今回の作品はそれに加えて「怖い」話でもありました。「父の幽霊」という一段階目の怪異が、もう一段先にある真相を読者の目からそらしているうえに、最後はあのビジュアルと同時なので戦慄しました。個人的には『日本怪奇小説傑作集』に収録されてもおかしくないような傑作だと思うのですが……次回が最終回ってどういうことだ!? 単行本2巻には話の数が足りないし、惹句の言葉通りに「とりあえず」なのだと思います。

『未知庵の三時のお水』「七味」未知庵
 これは……何? 豆? 人間? 見たら思わずむかついてしまうビジュアルが上手いなあ。
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  『ネムキ』2010年1月号
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