『復讐法廷』ヘンリー・デンカー/中野圭二訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★☆

 『Outrage』Henry Denker,1982年。

 法廷ミステリは面白い。どうしたってぶつかり合う人間ドラマがもろに表に現れるのだから、面白くないわけがない。だけど――です。ミステリ的に筋道の通ったどんでん返しが待ち受けているかというと、そんな都合のいい抜け穴があるほど、法律は甘くはありません。早い話が掟破り。法のルール(=掟)の是非がテーマになっている以上は掟破りは必然とはいえ――。謎解きミステリではなく法廷サスペンスであるとはいえ――。盛り上げておいてそれかよ〜。。。というのはありました。

 問題はそこではなくて、「法」を建前にして過去の判決・事件を裁判から排除しようとする判事を相手に、いかにして「裁判に無関係」な過去の事件を明るみにして陪審員の感情に訴えるか、なんですけどね。

 その時、法は悪に味方した。娘を強姦・殺害した男が法の抜け穴を突き、放免されたのだ。父親は憎むべきその男を白昼の路上で射殺し復讐を遂げるが、自首した彼には有罪判決が下ることは確実――しかし、信念に燃える少壮の弁護士ゴードンはこの父親を救うべく勝ち目のない裁判に挑む! 規範と同情の狭間で葛藤する陪審員たちは、いかなる決断を下すのか。法と正義の相克を鋭く描ききったリーガル・サスペンスの先駆的傑作(カバー裏あらすじより)
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