『野ばら』(第1巻)高田築(エンターブレインBEAM COMIX)

 ミョーに気になる表紙だったので購入。キッチュというほど濃くはないのですが、そこはかとなく主流ではなさそうな匂いがただよってます。
 

「しょむたん」「キスゲーム」「選択権のある女」の三篇は、教育番組に出演している謎の生物「しょむたん」と、報道志望のおねえさんの交流を描いたコメディ。犬のような外見にくりくりの目、知能はあるが言葉はしゃべれないのでイラストで気持を表現します。しょむたんの魅力とはずれてしまいますが、飛行帽にゴーグルをかけたポーカーフェイスしょむたんの、最初のスラップスティックが好きです。
 

「渋谷でタンキニ」は、海水浴に向けて水着を購入するOLの話。気になる男を意識して大胆にしようかどうしようか迷うというよくある話です。
 

「こっちを見てる」は都市伝説ホラー。謎の自殺が多発し、女の生首と目が合うと高いところから飛び降りたくなるという噂が。伊藤潤二にしても丸尾末広にしても楳図かずおにしても、悲鳴をあげた顔などが「動きのある漫画」ではなく「一枚の静止画」になっていて、あれはああいう緻密な絵柄だからこその表現手法だと思っていたのですが、それにシンプルな絵柄で挑戦してます。
 

「秘密のジュンジュン」。駄目警官(交通課)のジュンジュンが、馘首をかけて麻薬の囮捜査として家政婦に化けて潜入する。話をキスにもっていくためだけに人工舌というガジェットを導入し、そのために舞台が未来になったと思しき作品。見どころはSATですね。
 

「男やもめ・チャイナパンツ」は、巨大なガンダムならぬチャイナ娘が建造され、なぜかノーパンという掌篇。
 

「くるくるとGPS」。指をくるくる回すと物体を移動できる「くるくる」の能力を持つ「もも」と、ももの居場所ならどこにいてもわかる「GPS」の能力を持つ阿部。なぜそんな能力があるのか、ほかの人たちはどうなっているのかは、一切不明。大人になって能力が失われる――という話かと思いきや、むしろ逆だったような話です。
 

「わらしべしょむたん」は、おまけ漫画。タイトルの通り、某番組でパジェロを当てたしょむたんが、物々交換をしてゆきます。

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