『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』66・67(アシェット)

ミステリーゾーン』66「妖精レプレコン」「地獄への運び屋」「銀貨の横顔」「欲望のボタン」

「妖精レプレコン」(The Leprechaun-Artist,1986.2.21,ep047)★★☆☆☆
 ――森で妖精をつかまえた3人の少年たち。願いを3つ叶えられると言われ、一人は透視能力、一人は従順な両親、を願うが……。

 「3つの願い」ものはいい加減もう食傷してますが、願い事が子どもらしいくだらないことばかりなので、願い事がうまくいかないというお決まりの結末も、むしろ当然という感じで、ほっこりします。
 

「地獄への運び屋」(Dead Run,1986.2.21,ep048)★☆☆☆☆
 ――事故を起こしてしまった短気なトラック運転手ジョニーは、新しい仕事を紹介された。ものものしい警備のなか大勢の人間が詰め込まれているのは、トラックで「死人」を運ぶ仕事だという。

 グレッグ・ベア「Dead Run」原作。地獄の様子が、やっすい混乱の光景で、げんなりします。これだけ安っぽい演出をされると、どれだけドラマが描かれようとそらぞらしいだけでした。そのドラマすら独りよがりの正義漢の。
 

「銀貨の横顔」(Profile in Silver,1986.3.7,ep049)★★★☆☆
 ――ケネディ大統領の研究をしているフィッツジェラルド教授は、実は200年後からやって来たケネディの子孫だった。ダラスで暗殺の瞬間を見届けるだけのはずだったが、思わず大統領を救ってしまった。歴史が変わり、このままでは世界が滅んでしまう……。

 時間旅行で過去を変えてしまったがために、歴史を元に戻そうとする――時間SFの定番です。ケネディ暗殺を阻止した結果はともかく、そこから一足飛びに世界の終わりになりそうだったり、ケネディの子孫である必然性がなかったり、教授の決断があまり意味のあるとは思えないものだったりと、引っかかるところは多々ありますが、犠牲と献身、の葛藤は見どころがありました。
 

「欲望のボタン」(Button, Button,1986.3.7,ep050)★★★★☆
 ――二人暮らしをしているアーサーとノーマの許に、ボタンが届く。やがて男が訪れ、「ボタンを押せばどこかで誰かが死に、あなたは20万ドル受け取れる」と告げた。

 リチャード・マシスン運命のボタン」原作。夫婦漫才みたいな二人の独特の掛け合いのせいで、スリルやサスペンスよりも痴話げんかみたいな雰囲気に溢れていました。それだけに、ふたたび現れた男の一言の怖さがいっそう引き立っていました。
 

ミステリーゾーン』67「恐怖のメッセージ」「赤い雪」「永遠のエンターティナー」「死を呼ぶ集い」「ライフ・ライブラリー」

「恐怖のメッセージ」(Need to Know,1986.3.21,ep051)★★★★☆
 ――車の修理中、突然現れた男に耳許で何か囁かれた老人が、正気を失ってしまった。それ以来、二十五人が同じ症状を見せているため、ついに町から調査員が訪れた。調査の結果、一人の男にたどり着いた。調査員エドワードは、そのポッツという男の兄に会いに行った。

 「恐ろしいこと」の内容は伝えずに、恐ろしさに影響される人々だけを描写してゆくタイプの作品です。この手の作品は恐怖の内容が明らかにされることはまずないので、初めから興醒めするようなところはあります。それでも、大筋は明らかであってなお、原因をたどってゆく過程や、感染が広まりかねない絶望や、主人公を待ち受けていた結末など、定番ならではの安定した面白さがありました。
 

「赤い雪」(Red Snow,1986.3.21,ep052)★★★★☆
 ――北極圏内の収容所で党員が謎の死を遂げている。非情になりきれないせいで上官からうとまれたKGBのウラノフは、その収容所の調査を命じられる。一人は狼に襲われ、一人は自殺だと言う。だが調査しているうちに、ウラノフは恐ろしい事実を知ることになる。殺されそうになったウラノフは、村長ティトフとともに古い教会跡地に赴き、真実と向き合おうとする。

 ソ連時代の極寒の地という雰囲気むんむんの土地を舞台にした怪奇譚。短いなかにドラマ性が盛り込まれているために、ウラノフや村長ティトフの人柄がとってつけたようになっているのは否めません。戦争によりルーマニアを追われた吸血鬼=流民=流刑者という構図や、吸血鬼と流刑者が交わした持ちつ持たれつの共存関係に、社会性も盛り込まれているので、もっと尺があって演出も上手にしていれば、さらなる良作になっていたものをと惜しまれます。
 

「永遠のエンターティナー」(Take My Life...Please!,1986.3.28,ep053)★★★★☆
 ――人気コメディアンのビリーは、テレビ局から帰る途中、芸を盗まれたと言って銃を突きつけられた。必死で抵抗するうち、車はトラックに衝突し……知らない場所で見知らぬ代理人から、舞台に立つように言われ、自分が死んだことを理解する。舞台で罪を告白するたび、客席は爆笑に包まれた……。

 審査の結果どのような罰・因果応報が待ち受けているのか、ということにばかり気を取られていましたが、スタンダップコメディそれ自体が罰になっていたという構成にうならされました。笑いのからんだエピソードは、文化の違いから面白味が伝わりにくいことが多いのですが、バナナのネタには笑いましたし、死後の舞台に関しては、面白くない話がウケてしまうというエピソードだったので、まったく問題ありません。
 

「死を呼ぶ集い」(Devil's Alphabet,1986.3.28,ep054)★★★★☆
 ――大学卒業を前にした7人の友人たちは、卒業後も同じように集いをおこなうことを約束した。生死にかかわらず……。やがてディーヴァが自殺しても、集いは続けられた。次にアンドリューが自殺した。椅子も使わずに天井から首を吊って……。

 アーサー・グレイ「The Everlasting Club」原作。菊花の契りホラー版、です。「生死にかかわらず」だなんて馬鹿げた誓いに、いかにも学生らしいノリとか粋がりを感じます。一人、また一人、と消えてゆき、しかも最初はゆえあっての自殺、次は不可解な自殺、次いでとうとう馬車の発火という怪現象に達する過程には、ひたひたと忍び寄る恐怖を感じます。ただし、死者が生者を道連れにしてゆく理由がよくわからず、そのことが理不尽な恐怖としてプラスに作用せずに、恐怖ありきのご都合主義に感じられてしまうようなところがありました。
 

「ライフ・ライブラリー」(The Library,1986.3.28,ep055)★★★☆☆
 ――個人図書館の蔵書をホログラムにして保存する仕事に、臨時の助手として就くことになったエリー。だがそこにある本はどれもが、人間の人生が書かれた本だった。迷惑な隣人の名前の書かれた本に、彼は敬虔な神父だと書き加えたところ、それが現実になった。だがトラブルを解決するたび新たなトラブルが起こり……。

 当然「雇い主」とは神のことでしょう。何とアナログな。他人の人生を書き替えることで予想もしないことが次々と起こるところはテンポがよいものの、図書館の荘厳な雰囲気と相まって、コメディにならないギリギリのところに留まっています。
 

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