『シャーロック SHERLOCK』01「ピンク色の研究」、02「死を呼ぶ暗号」、03「大いなるゲーム」(BBC,2010)

 だいぶ前から話題になっていたものをようやく観ました。

01「ピンク色の研究 A Study in Pink」

 ピンクとは被害者のスーツケースの色です。ホームズが推理を畳みかけるように披露したり、頭のなかで考えていることが字幕で出たりといった演出は面白い。実際に頭がいいかどうかは判断できずとも、頭がよさそうというのは伝わってきます。犯人像が明らかになった時点で犯人の正体はわかってしまいますが、視聴者には冒頭のシーンでシャーロックは知り得ないヒントが与えられているので自慢は出来ません。

 なぜ「ハドソン氏」はいないのかといったようなシャーロキアン的な謎に対し、シャーロックの助言のおかげで死刑になっていたといった笑えるネタもありました。

 起こっているのは連続自殺事件です。連続殺人ならぬ連続自殺などあり得るのか? 人間をコントロールしている「つもり」の犯人のやり方では、遅かれ早かれボロは出たと思いますが、魅力的な謎ではあります。
 

02「死を呼ぶ暗号 The Blind Banker」

 見えないところで頑張っているシャーロック。が隠れテーマです。ジョンがお使いに行っているあいだに依頼人と格闘するシャーロック。ジョンがドアの外で待つあいだ現場で殺人犯と居合わせ襲われるシャーロック。ジョンがのんびりデートでサーカス見物しているあいだ組織の一員であるサーカス団員と格闘するシャーロック……というところでようやくジョンにも気づいてもらえました。

 正典「五粒のオレンジの種」では、依頼人を守れなかったことを悔いていたホームズでしたが、この作品のシャーロックやジョンは事件関係者の命を守れなくてもさほど気にした様子は見えません。どころか視聴者である私もそれほど後味を悪く感じませんでした。これもテンポのよさの賜物でしょうか。

 正典「踊る人形」はあからさまな暗号でしたが、この作品では暗号をグラフィティに紛れさせるのが現代的です。

 原題の「The Blind Banker」とは暗号で目を塗りつぶされた肖像画であるとともに、「目利きではない銀行員」を指しているものと思われます。

 メアリならぬサラという女性がワトソンのデート相手として登場しました。

 シャーロックの大学時代の友人が経営している銀行に何者かが忍び込んだが、盗まれたものは何もなく、ただペンキの悪戯描だけが残されていた。だがまもなく、欠勤していた銀行員が死体で見つかった。現場が鍵が掛けられた高層マンションの一室であることから、警察は自殺と判断するが、シャーロックは被害者の利き手と銃創位置から他殺だと断定する。さらに殺人は続き、被害者が中国と関係のあることがわかってきたが……。
 

03「大いなるゲーム The Grand Game」

 マイクロフトから持ち込まれる事件はほとんどそのまま「ブルース・パーティントン設計書」をなぞっています。そこにモリアーティによるシャーロックへの挑戦が組み込まれていました。ゲームとは犯罪探しと犯人探し。制限時間内に犯人を当てられれば人質は解放されます。

 正典でも触れられていたシャーロックの「天文学の知識」に関するネタの、回収の仕方が見事でした。

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