『日本の1/2革命』池上彰・佐藤賢一(集英社新書)★★★★☆

 フランス革命を二段階の革命と捉え、対して日本は明治維新以来いまだ1/2の革命史か経験していない――という佐藤氏の持論に基づく対談集。初版は2011年6月の発行なので、民主党による政権交代東日本大震災のさなかの書物です。

 数年経って振り返ってみれば、あの政権交代は1/2ですらなかったわけですが、どうなんでしょうね、当時は震災の怒りは民主党菅総理)と東電に向かっていたように感じたけれど、一人のナポレオンがいたらあれからさらに変わっていたのかどうか。

 絶対王制下のフランスが「絶対」どころではなく、地方自治集合体の幕藩体制に近く、ヴェルサイユが派手なのは、(ざっくり言うと)憧れの的にしておいて国中の貴族を引き寄せ一箇所に集めておこうとしたのだ、というのが面白いです。

 恐怖政治は、理想主義のマニフェストにしばられたがゆえに引き起こされた、という見方には説得力がありました。とにかく辻褄を合わせるしかない以上、極端に走った挙句に軋みや歪みができるのは当然のことです。

 カエサルアントニウスオクタヴィアヌスと信長−秀吉−家康の「破壊−まとめ−創造」の類似なんてのは単なる偶然なのだろうけれど、話の種には面白いエピソードです。

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