『ピピネラ』松尾由美(講談社文庫)★★☆☆☆

 とつぜん小さくなる病気になった主婦と、「ピピネラ」という謎の言葉を残して人形を追って失踪した夫をめぐる、サスペンスのような、オカルトフェミニズム小説でした。

 とつぜん一メートル前後の身長になってしまう困惑をファッション面から描いてみせたり、「主婦」になって自分が女として見られる自覚をなくしたり、小さくなる場面に共通する点、など、フェミニズムの視点から描かれていましたが、肝心のピピネラと夫失踪の謎の真相がオカルトで(現象的にも思想的にも)もやもやしました。

 「ピピネラ」。不可思議な言葉を残し、夫が姿を消した。上野発の電車で北へ向かったことを知った加奈子は、友人の千紗と彼の足跡を追う。その旅は夫を捜すだけでなく、加奈子を苦しめる体の変調の原因を探る旅へと発展する。この存在意義を問いかける珠玉のエンターテインメント。全面改稿による決定版。(カバーあらすじ)

  


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