『ドニー・ダーコ』

 今さらながら。WOWOWで観ました。こんなすごい映画なのに、存在すら知らなかった。2002年日本公開の映画ってことは――去年の夏はいったい何をやっていたっけか? 『遠い空の向こうに』のジェイク・ギレンホール主演、『卒業』『明日に向って撃て!』のキャサリン・ロスがめちゃくちゃ久しぶりに出演、ってだけでも、絶対みたい映画のはずなのになあ。

 ハッピーエンドじゃないのに見終わったあとすがすがしく感じる、てところは、同じくWOWOWで観た『トマ@トマ』を思い出した。ふむ。WOWOWも捨てたもんじゃない。

過去に戻る〉んじゃなくて〈過去に戻す〉みたいなタイム・トラベル観が好きです。後ろを振り返って過去を後悔するのではなく、前を向き続けたまま過去にトリップする、明日から過去が始まる、みたいなタイム・トラベル。

 兎に導かれる救世主、なんてどこか『マトリックス』みたい。救ったのは、家族と恋人だけという、すっごくミニマムな世界だけど。けれど、救ったのがちっちゃな世界だけに、すべて妄想青年の妄想内の世界の話だ、と否定的に見る人もいるだろうな。こんなのを思い出した。


人は一生に一度くらいはシャーロック・ホームズになれることがある」(小森収

決定的な試練や選択に直面したひとは、自分が世界の中心に来たと感じるものだ。しかし、世界の中心はここにない。世界は君など眼中にない。」(巽昌章

 ――この映画を観て、どちらの感想を持つかは、見た人次第。

 あまりにも感動したので、見終わってしばらく経ってから、ほかの人の評価も気になってネットを覗いてみると。……う〜ん、デヴィッド・リンチと比較してしかもリンチの方が上、みたいな評価が結構あった……それは違うだろ!と思う。 「マクベス殺人事件」じゃないんだからさあ。『マクベス』や『異邦人』はミステリとして凡作だ、エラリー・クイーンの方が上、みたいなこと言われてもね。
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