〈霊感〉、とはいいつつも、完全な無から創り出されるものなどない、ということです。まずはマン・レイらシュールレアリストを引き合いに出して〈霊感〉を定義。そしていよいよ作家の〈霊感〉に――。
ヘンリー・ジェイムズは本の虫でもインドア派でも何でもなく、社交に出ては噂話を仕入れていたそうです。ただし全部は聞かない。半分だけ聞いて、想像力を駆使して残りの部分を創作したものが、一つの作品となったとか。
イェイツは、たった一行だけを思いつき、それを何度も何度も繰り返し続け、やがてその一行に言葉を継いで偉大な作品をつくったとか。
ジョーン・ディディオンは一枚の写真から霊感を得て小説を完成させた、とか。
ジョン・ホークスは書けなくて苦悩していたが、あるときどこかのおっさんから噂話を聞いて、霊感を得たとか。
ジェイムズ・ジョイスは学生時代から「ひらめき」と呼ばれるメモを書き留めていたとか。
『フランケン・シュタイン』を書いたメアリ・シェリーは、寝つかれない夜に落雷を幻視して霊感を得たが、それがフランケンシュタインの怪物の物語になったのは、メアリが若く未婚のままシェリーの子を産み、一人は夭逝していたことと無関係ではない、とか。
ヘミングウェイとフォークナーはとにかく何度も書き直しまくった、とか。
「Running And Writing」からもわかるとおり、作品を書くという行為を、オーツはかなりアクティブな行為だと位置づけています。まだ読んでいませんがこのエッセイ集には「Reading As A Writer」という章もあるので、オーツが「読む」という行為をどう位置づけているのか読むのが楽しみです。
The Faith of a Writer: Life Craft Art で詳細を見る。