『ハンニバル』(上・下)トマス・ハリス/高見浩訳(新潮文庫)★☆☆☆☆

 あらかじめ馬鹿々々しい作品を期待して読むならツボ。真面目なのを期待して読んだなら、途中で脳内回路をおバカ路線に切り替えられるニュートラルな人じゃないとしんどい。

 アホくさい。というのが正直なところ。バットマンとかのぶっとんだ悪役をやってみたかったんだろうかなぁ。ばかばかしすぎてしらけてしまう。あのラストすらどうでもいいと思えるような壊れ具合。

 B級節全開で、レクター博士クラリスも魅力に乏しい。これで『ハンニバル』ってタイトルはずるいよねえ。当然っちゃあ当然だけど、丁寧に書き込めば書き込むほど凡庸になってゆく。もっと超人的なレクターが見たかったわけなのです。過去が知りたかった、人間的な内面が知りたかった、なんて人がいるのだろうか。だったらハリスなんて読む必要ないじゃん。

 『羊たちの沈黙』が知的サスペンスって感じだったもんであれなんだが、きっと本来はこういうB級のノリなんだろう。『007』とかのアホみたいなホラ話が好きなら楽しめると思う。いやそういうものだとあらかじめ思って読めばよかったんだろうけど、『羊』を期待してこれはずっこけるよなあ。。。まあ単独の作品として読めばバカミス作家として後世に残る作品なのかもしれん。

 怪物は「沈黙」を破る。『羊たちの沈黙』続編、ついに上陸!  あの血みどろの逃亡劇から7年──。FBI特別捜査官となったクラリスは、麻薬組織との銃撃戦をめぐって司法省やマスコミから糾弾され、窮地に立たされる。そこに届いた藤色の封筒。しなやかな手書きの文字は、追伸にこう記していた。「いまも羊たちの悲鳴が聞こえるかどうか、それを教えたまえ」……。だが、欧州で安穏な生活を送るこの差出人には、仮借なき復讐の策謀が迫っていた。
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