『キン肉マン』の掉尾を飾るこの〈王位争奪〉シリーズだが、他のシリーズとは決定的な違いがある。それは魅力的な新超人の不在。
一回目の超人オリンピックではラーメンマン、ロビンマスク、カナディアンマン、スペシャルマン、カレクック……と枚挙にいとまがないし、二回目のオリンピックではウォーズマン、ブロッケンJr.、ウルフマン、ペンタゴン……とこちらもそうそうたるメンバー。そして7人の悪魔超人、悪魔六騎士、完璧超人……と現れた新超人たちも、忘れがたい印象を残してくれた。
ところがこの王位争奪シリーズで印象深い新超人といえばせいぜいキン肉マンソルジャーくらいのもの。キン肉マンビッグボディチームなんてまるっきりただの数合わせだし。露出の多いキン肉マンフェニックスチームにしてからが、なかでも一番出番の多いマンモスマンのビジュアルが、ソフィスケートされておらずちっとも魅力的ではないのだ。巨漢がマンモスの皮をかぶっただけ。同じ動物系超人のバッファローマンやアトランティスと比べると、そのキャラクターとしての完成度の差は歴然としている。
その代わり、といってはなんだが、このシリーズでは今まで同様に人気正義超人たちが思う存分活躍してくれる。なかでもブロッケンJr.の活躍が見どころだ。リング上の試合に限れば、なんと悪魔六騎士シリーズ以来の活躍ぶり。人気超人たちの中では、ロビンマスクやテリーマンの前に隠れがちな存在だったのだけれど、このシリーズではみごと堂々の主役っぷりです。ブロッケンに限らず、主要な人気超人たちはひととおりメインになって活躍してくれます。ロビン、テリーマン、ラーメンマン、ウォーズマン、バッファローマン、アシュラマン、ザ・ニンジャ、ジェロニモ、ネプチューンマン、プリンス・カメハメ等々……。ミートくんの活躍も特筆すべきだろう。ロビンが何度かボケにからむシーンも新たな魅力かも。
というわけで、正義超人たちが友情パワーを再確認するとともに、読者が人気超人たちの魅力を改めて再確認するシリーズなのでした。
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