『世界でいちばん不運で幸せなわたし』★☆☆☆☆

 悪趣味極まりない映画。大人になりきれないのとも違う。子どもの心を持ち続けているのとも違う。交互にいたずらをするというゲームを始めたジュリアンとソフィーだが、いたずらはどんどんエスカレートしていき、自分たちでも止められなくなってしまう。相手を好きという気持も素直に言えず、いたずらを仕掛けてつづけて数年が過ぎる……。

 確信的な愉快犯。“自分が”楽しければそれでいい。“二人が”幸せならそれでいい。それをあまりに極端な形で描いた映画。自分はカタイことに縛られていると感じている人が観れば、ふっきれて面白いかもしれない。でもたいていの人は主人公二人じゃなくて、二人にひっかきまわされる一般人の立場でこの映画を観てしまうと思う。そうなると面白くも何ともない最低の映画。二人の愛を邪魔していたのは周りの人たちや社会ではなく、二人自身なのに。初めから二人だけの世界に住んでいたくせに。

 恋愛ものじゃなくてコメディにすればまだ面白かったかもしれないのに。

 ちょっとした疑問が。ジュリアンの結婚式のシーン。「花嫁を泣かせられないだろ」とは正論だが。ジュリアンが「いいえ」と言わなかった時点で、ゲームは不成立のはず。なのにどうしてソフィーが次のゲームをするんだろう? もう一度ジュリアンの番じゃないのかな? ルールがないとはいえルール違反の気がする。
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世界でいちばん不運で幸せな私
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