『海の上のピアニスト』の原作者として知られる――という前置きも、海外小説ファンには不必要な――傑作『絹』や『シティ』のアレッサンドロ・バリッコの新刊です。
出版社紹介文によれば、長大で難解な『イリアス』から朗読用の短縮版を作りだそうというのがそもそものきっかけだとか。〈要約版〉ではなく、あくまで原文のことばはそのままだそうである。『イリアス』だとかバリッコだとかを差し引いても面白そうな試み。筒井康隆や清水義範だったなら爆笑小説に仕立て上げそうなアイデアだと思う。
はたしてどんな小説になっているのか、読むのが楽しみである。

