『ぼくがカンガルーに出会ったころ』浅倉久志(国書刊行会)★★★☆☆〜★★★★★

 SF翻訳家・浅倉久志のエッセイ集。とはいっても大半を文庫解説(訳者あとがき)が占める。

 後半はSF入門として読めるので万人向け。前半のディックとヴォネガットの文庫解説は著者のファン向けかな。ディックとヴォネガットに特に思い入れのない人間にとっては、この二人に関するエッセイが単行本の半分近くを占めるのは辛かった。文庫解説ですからね。作品紹介や作家紹介ではない。未読の人間にはピンとこないところもあるのです。

 で、後半は純然たるSF作品紹介なので、誰にでも楽しめると思います。未知の作家や作品に出会えるのってやっぱり楽しい。8月下旬刊行予定の『グラックの卵』にはスラデックの中篇も収録されます。さしずめ『ユーモアSF傑作選』番外編といったところ。

 シャギー・ドッグ・ストーリーという欧米のギャグを知る。本屋で『ジョークのたのしみ』という本も見かけて、ぱらぱらと読んでみる。よくあるような、パーティーの教養としてのジョーク集ではなくて、日本人には馴染みの薄い欧米のジョークを紹介したショート・ショート&解説集みたいな感じで面白い。もちろんシャギー・ドッグ・ストーリーも載ってる。

 翻訳作品一篇のおまけつき。
 

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