『アルアル島の大事件』クリストファー・ムーア/青木純子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 カワイコちゃんと機上でヨロシクやっていて大事故を起こした化粧品会社社長のお抱えパイロット、タック。人には言えない傷を負って入院中に、南の島の伝道医師から、免許停止の彼を雇ってくれるという知らせが。アルアル島に辿りついた彼の任務の実態は何なのか? 島に隠された秘密とは? 『悪魔を飼っていた男』のムーアが贈る、全ページ抱腹絶倒の傑作ユーモア・ミステリ!?(カバー裏あらすじより)
 

 ユーモアものには相性がある。わたしはダメでした。なんというか、奇想天外はちゃめちゃスラップスティックというのではないんです。『ピンク・パンサー』ぽいというのか(『ピンク・パンサー』は好きなんですが)『ポリス・アカデミー』ぽいというのか、シチュエーションそのものではなくて主人公のノリとリアクションで笑うタイプの作品。こういう、見え透いたおばかさん演技ってどうも苦手です。

 そうは言ってもミステリとしては充分に楽しめます。戦争中に敵兵を殺し物資を運んでくれたパイロットを神と崇める島民たち、神の使いになりきって島民たちを搾取する看護師夫妻、ものものしいボディーガード。いかにも時代がかった、007ぽい悪の組織みたいで愉快。

 飛行機を使ったクライマックスのアクション(?)シーンも、二時間スペシャルの『ルパン三世』クライマックスのレギュラー大集合みたいな感じで懐かしい。

 そういうくっさい(古くさい・馬鹿くさいetc...)ツボを押さえたあたりは読んでいてクスクスニヤニヤできました。
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アルアル島の大事件
クリストファー・ムーア著/青木純子訳
東京創元社 (2006.3)
ISBN : 4488565018 価格 : ¥1,260
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