サディスティック・ミカ・バンド。『黒船』しか聴いたことはないけれど、ミカがメインじゃないことはわかるし、だからこのアルバムもカエラ・メインじゃないことは予想してました。
ただ、やっぱり統一感はないよね……。1、2曲目のカエラ・ボーカルから3曲目の加藤ボーカルへの移り変わりはぜんぜん違和感がなかったんだけど。『黒船』と比べるとベタといってもいいほどにロック色が強い。特にカエラのボーカル曲は、カエラを意識してわざとロック調にしてるみたいです。何度も聴いていると逆にそこだけ浮いてくる。
3〜10曲目の流れは、完全に『黒船』から受けるイメージ通りのサディミカでした。まあ『黒船』だとあんまり小原さんの印象がないので、5曲目「King fall」と8曲目「Jekyll」だけは意外な感じですが。こういうの、なんて言うんだろう。フォークロック調? 歌い回しがはっぴいえんどっぽい。
サディミカというよりフォーク・クルセダーズを思わせる、いかにも加藤和彦な「in deep hurt」。加藤和彦が加藤和彦らしさを出すとサディスティック・ミカ・バンドになるのだけれど、小原礼や高橋幸宏が自分らしさを出すと、小原礼や高橋幸宏になってしまう「The Last Season」。ギターもドラムもオルガンも主張しまくっている「sockernos」、インストかと思ったら歌詞もあってボーカルも入ってました。
「タイムマシン」は別格にしてカエラ曲のなかでは唯一浮いてない「Tumbleweed」は、楽器が我を出しまくっていた前曲「sockernos」とは一転して、ボーカルも楽器もすべてが絡み合うようにお互いを引き立て合うように主張しててかっこいい。リリー・フランキー作詞だってさ。
気になったのは、「Low Life and High Heels」みたいな曲調の曲を加藤ボーカルというのは無理があるのでは……。この曲カエラじゃだめだったのかな。
「NARKISSOS」は『黒船』のインストを思わせる静かな曲。この曲を聴いてイメージするかぎりでは、タイトルの「NARKISSOS」ってのは美少年のナルシスくんではなくて、水面で揺れる水仙のことなのかな、と思った。
単独の曲としての好き嫌いは別にして、カエラボーカルの曲と小原ボーカルの曲と「Low 〜」がちょっと浮いてたように思いました。
-------------
NARKISSOS (初回限定盤)(DVD付)
amazon.co.jp で詳細を見る。
NARKISSOS (通常盤)
amazon.co.jp で詳細を見る。