『デスノート』第1巻 小畑健・大場つぐみ(集英社JUMP COMICS)★★★★★

 やはりこの巻が一番面白い。Lも月もまだ相手のことをまるっきりわからない状態で探り合ってるから、相手に迫るために必要な頭のよさが最大限発揮されてて。純粋にゲームとしての面白さは一番。振り返ってみれば、キラの正体が明らかになるのがあまりにも早すぎたのかな。その後は推理合戦・知恵比べというよりも腹のさぐり合いみたいになってしまうものね。

 2巻になるといきなり南空ナオミのそりゃないだろう……てな展開があるし。1巻であれだけ手を尽くし合っておいて、2巻にして早くもあの安易なご都合ノリはないでしょう。。。ヨツバキラの巻はあれはあれで明るくて好きだけど。あれはあれで普通の探偵ものノリで楽しめる。

 7巻のアレの時点で捜査陣が月とミサに微塵も疑いを抱かないのは、頭悪いにもほどがありすぎるしなあ……。誰が利益を得るのか――は常道でしょう? いくら父親とおバカな松田ちゃんがいるとはいっても……。

 8巻以降になると、ゲーム性が悪い方向に進み始めちゃうんですよね。。。セコセコ合戦というか。それこそ腹のさぐり合い。及びアクションもの。シリアス面も出てきちゃうし。でもシリアス面はプラスかな。たとえば『ドラゴンボール』なんかの〈宇宙人〉を〈犯罪者〉に置き換えたら笑っては済ませられないはずなんですけどね。でも悟空にとって殺すのは無邪気な正義なのだ。理屈がある分『デスノート』は質が悪いというべきか、マシというべきか。

 まあスティーヴン・セガールの映画なんか見てると、この世の中には〈自分の味方〉と〈敵〉と〈それ以外〉の三種類しかいないみたいなので(^^;。敵が死ぬのは当たり前だし、敵と戦う過程で第三者が死んでも知ったこっちゃない。そういうアメリカン・ヒーロー映画に違和感を感じる者にとっては、むしろヒーローの側からではなく犯罪者の側から描いてくれた方がすっきりとはする。ヒーローが人殺すのはヘンだけど、人殺しが人殺すのはまあねえ……というか。
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