サブタイトルに「乱視読者の〜」とついてはいるものの、これまでの〈乱視読者〉シリーズ(?)とは違って、目から鱗の読みが続出するわけではなく、あくまで未訳作品の紹介がメイン。とはいえ選ぶ本のセンスは一流なのでどれもこれも面白そうだし、意外な読みにまで踏み込んでくれている回もけっこうあるので期待は裏切られない。
が、やはり読書案内として読むのが最適かな。以前から読みたいと思っていたジョン・サザーランド『ヒースクリフは犯人か?』や『スタージョン短篇全集』をはじめとして、未訳のシャーリイ・ジャクスン短篇集やロバート・エイクマン、L・P・ハートリー、W・W・ジェイコブズ、エドマンド・ウィルソンなんて名前がぞろぞろ出てきて、目次を眺めているだけでも楽しくなってくる。
ロバート・アントン・ウィルソンとかナイジェル・ウィリアムズとか、知らなかった名前もたくさん出てくるし、ことあるごとに読み返し、紹介されている実作を読んではまた読み返ししてみたくなる作品集でした。
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