『百鬼夜行抄 14』今市子(朝日ソノラマ眠れぬ夜の奇妙なコミックス)★★★★☆

 「番人の口笛」「天上の大将」「床下の賢人」「介添人」の四篇を収録。尾白と尾黒のルーツを描いた「天上の大将」が出色。

 え〜と実は13巻を買いそびれていたので前後の事情はよくわからないのだが、三郎さんがこんなことになっていたのか。「番人の口笛」は晶ちゃんが反魂術を依頼するというとんでもない作品。

 意図的なのか練り切れてないのか、『百鬼夜行抄』にはすべてのエピソードを説明せずに終わる話もけっこう多い。それがまた特徴にもなっているわけだけれど、第8巻の「雲間の月」なんてのは車の中の誠がその後どうしたんだか気になっちまう。その点、「天上の大将」はほどほどよく語りよく語らず。しかし……どこでどうねじ曲がったらこんな性格になってしまうんだ(^^;。

 「床下の賢人」はすでに『ネムキ』で読んでいたので新鮮味はなかったけれど、「天上の大将」と並んで本書中のベストですね。「妖魔とは取引をするな」という蝸牛の言葉は、ことあるごとに触れられているけれど、これはそれを一ひねりした作品。

 「介添人」は一読しただけではわからなかったよ……。なぜ(そしてどうやって)八名瀬が存在しているのかとかがさ。いやまあ再読してもそこはよくわからないんだけど、まあそういう世界の話なんだろう。おや今市子って絵がうまかったのかな、と感じました。若いころのおばあちゃん(八重子)が、絵を見ただけでちゃんとおばあちゃんだってわかるものね。

 P.S.そいえば朝日ソノラマなくなっちゃうんだそうです。『ネムキ』は朝日新聞社に継続されるそうですが。。。ソースはここ
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