『文学賞メッタ斬り! 2007年版』大森望・豊崎由美(パルコ出版)★★★★☆

 3冊目である本書から、「2007年版」と相成りました。予定通りに行けば、これからは年に一回出るのかな……?

 今回は中原昌也がゲスト。前回の島田雅彦といい、今回もゴシップ的に(も)楽しめる。

 本文の方は、対象作品そのものよりも、相も変わらず選考委員のとんちんかんぶりが目を惹きます。そして! 直木賞の選考委員を降りてしまった津本陽の特集。

 『ミステリマガジン』だけを読んでいたら突然勃発したみたいな『容疑者X』をめぐる本格ミステリ論争だったのだけれど、なるほどこういうことなのか。『本格ミステリ・ベスト10』でも一通りまとめられてはいたけれど、あちらは所詮身内のまとめなのか、外野のまとめである本書の方がよくわかる。

 新人賞はさすがにチェックしてられないので、『ラス・マンチャス通信』に憧れて日本ファンタジーノベル大賞に落選したという『ジャン=ジャックの自意識の場合』を知ることができたのはありがたかった。本書の発売直後くらいに刊行されたので、さっそく購入。

 笑える選評のほか、今後も、有望な新人賞受賞作のチェックには重宝しそうです。
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