今月号はビブリオ・ミステリ特集。
テーマが広いわりにページ足らずでぼやけた特集という、『ミステリマガジン』いつものパターン。
「パイソン読書クラブ」モンティ・パイソンとエッセイ「古本屋探偵の誕生と死」紀田順一郎が拾いもの。ほかにルース・レンデルの短篇「ブリタニカ第八巻」と小路幸也エッセイ、逆密室によるビブリオ・ミステリ案内ほか。それと、新刊『本泥棒』マークース・ズーサックは面白そう。
「ミステリアス・ジャム・セッション第76回」今野敏
「新作戯曲“豪華客船ミステリ”上演間近「汽笛が殺意を誘うとき」へのお誘い(前編)」若竹七海インタビュー
なぜ船上ミステリなのかという話が興味深い。
「銃後の守り」チャールズ・アーダイ/羽地和世訳(The Home Front,Charles Ardai,2006)
★☆☆☆☆ ――闇取引で摘発した青年の死……そこからすべてが始まった
文字どおり死ぬまで人に迷惑かけっぱなし。不愉快。
「今月の書評」など
◆デンマーク産ミステリ『地獄の家』ラース・キエデゴーが珍しい。
◆小玉節郎「ノンフィクションの向う側」◆
『方向音痴の研究』。対談なので〈研究〉というほどではないそうだけど。
◆風間賢二「文学とミステリのはざまで」◆
本誌巻頭にもインタビューが掲載されていたウェズリー・ステイス『ミスフォーチュン』。
『ファイナル・オペラ 呪能殺人事件」(第1回)山田正紀
「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか? 第113回 叙述トリックと人称問題」笠井潔
「夜の放浪者たち――モダン都市小説における探偵小説未満 第33回 江戸川乱歩『ペテン師と空気男』(前篇)」野崎六助
「新・ペイパーバックの旅 第18回=砂漠の古本屋でめぐりあった七冊のヴィンテージ本」小鷹信光
「スマートアレック・キル」レイモンド・チャンドラー/三川基好訳(Smart-Aleck Kill,Raymond Chandler,1934)
――凶器に施された奇妙な細工から私立探偵ダルマスが真実を見抜く
『藤村巴里日記』第06回 池井戸潤
-----------