『自由論』ミル/山岡洋一訳(光文社古典新訳文庫)★★☆☆☆

 『On Liberty』John Stuart Mill,1859年。

 ありゃ。期待はずれです。amazonなどでは評判がいいようだが、わたしには読みづらかったぞ。何というか、論理的な文章をこういうやわらかい文章で訳されると、読むテンポが悪くなっていらいらさせられるのだ。もっとハキハキとした文章であってほしかった。

 《翻訳通信》の責任者である山岡氏のこと。おそらく原文と照らし合わせてみれば、たとえ直訳のように見える箇所でも“うまく訳したなあ”と膝を打つ訳文であるのでしょう。

 一冊の本として悪くはない。わかりやすい。でも《新訳文庫》の一冊にしてはあまりに優等生的な翻訳で、かなりもの足りなかった。確かに旧訳と比べれば圧倒的に読みやすいが、でもまだまだ頑張れるはず。

 自立した個人の世紀といえる19世紀ヨーロッパ社会。

 その「時代の動向を大きく肯定」し、「自由の大切さを観念的に語るのではなく、自由に生きるという生きかたの魅力を、社会生活に即して現実的に描き出そうとするのがミルの『自由論』だった」
(裏表紙あらすじより)

 『自由論』
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