『Brothers of the Head』Brian W. Aldiss,1977年。
まあこうなるしかないわなあ。第三の頭があるあたりがユニークといえばユニークだけど。比喩的な話(それも双子という形に限らなければ)、それこそ星の数ほど書かれてきた物語ではある。
あとは、本人たちの葛藤もそうだけど周囲の利害がモロ顔出しているのも効果的かな。徐々に本人たちの内面にピントがしぼられてゆくあたりがドラマチックだもの。こういう、他者の証言によって外堀から対象者に迫ってゆくタイプの物語にわたしは弱い。
似たようなアイデアの『SFマガジン』2007年5月号マイクル・ビショップの「合作」は本人の一人称だった。あれはあれでストレートでよい作品だった。
イアン・ポロックの挿絵がすさまじい。
英国北部の僻地、レストレンジ半島《ヘッド》に生まれ育ったトムとバリーは、結合双生児。さらにバリーの肩には第三の頭が生えていた。二人を待ち受けていたものは、ロックスターとしての世界的な成功と、運命の女性ローラとの邂逅。だが、離れることのできない兄弟は互いに憎みあい、争いは絶えない。その果てに……巨匠オールディスが円熟期に発表した名編。(裏表紙あらすじより)
--------------