『ミステリが読みたい! 2008年版』ミステリマガジン編集部(早川書房)★☆☆☆☆

 去年までは『ミステリマガジン』本誌で増頁特集していたアンケート企画を、本誌リニューアルを機に(?)単行本として独立させたようです。やはり『ミステリマガジン』購読者にはコアな読者が多いのか、読者票もあるわりには意外と狭義のミステリ度の高い結果になっているようです。

 しかし文字どおり本誌の特集を切り離して一冊にしただけ、という印象で、一冊の本としてはあまりにお粗末です。

 とりあえず呼び物と言えるものは「小鷹信光原りょう山本博ハードボイルド鼎談」だけで、ほかはランキング、あらすじ紹介、アンケート、リストをだらーっと並べただけというお粗末さ。

 アンケート自体も、参加者に作家の割合が少ないので、ほとんどの一般読者は興味を持てないと思います。おまけに本書総ページ数の三分の一近くがリストというあり得なさ。まあ便利といえば便利なんだけどさあ。。。

 正直、ランキング部分を立ち読みして、「ほう。」と思うだけでかまわない本だと思います。桜庭一樹法月綸太郎のコメントはすべて集めてるんだ!という超マニアや、本気でベストテン片手に本を読む人以外は買う必要ありません。でもこんなしょぼいんじゃ2009年版はないかもしれないから、〈幻の雑誌〉候補としてコレクターも買っといた方がいいかも。

 ※でもコメントのなかには面白いのもありました。翻訳家の長島良三氏が『新顎十郎捕物帳』をベスト3に挙げていて、「都筑氏のミステリはペダンチックで、あまりおもしろくない。しかし、彼の捕物帳は面白く読める」と書いていらっしゃいました。言葉は乱暴だけど、わかります、その意見(^_^)。都筑氏って、クレバーな作家ではあるんですけど、決して上手くはないんですよね。理が勝ちすぎてて。もっと気楽な作品も量産していてくれたらなあとは思いました。
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