初めて買いました。通称『俺ミス』だなんていうからどんなムチャクチャな内容なのかと思ったら、意外と面白かった。ほかの年末ベスト本に独自カラーがなくなってきちゃったのを思えば、良くも悪くも個性的なのは楽しい。
ていうか、柄刀一や三津田信三のグラビアはいったい誰に向けたサービスなんだ(^_^;。お勧め作品のページでは、表紙を金の額縁に入れて飾っちゃってるし、このセンスは要注意だなあ。
だけど、お勧め作品に選ばれた作家の自作解説が掲載されているのは嬉しいし、作家による来年の予定も、ほかのベスト本と比べて執筆陣も豪華だし文章量もあるような気がする。これは島田御大の人徳(権力?)かな。。。
お勧め作品の選考鼎談にしても、発言そのものの是非はともかく、かなり対象作品の内容につっこんで話しているので読みごたえはある。『本格ミステリ・ベスト10』も以前はこんな感じだったと思うんだけどな。
島田荘司の巻頭言が相変わらず熱いです。相変わらず細かいところでつっこみどころは満載なのだけれど、ポーとヴァン・ダインの違いについて、“お化け屋敷の制作者側の見方である”等々と、これまでの持論を補足するようなところがあって、より御大の言わんとするところが理解しやすくなっています。しかし自作解説で「リベルタス」の「『二十一世紀本格』としての要素はゲーム」って書いてあって、そんな程度の意味だったのかよ!二十一世紀本格って。つまり「器」「型」「パターン」に陥っていない「謎」「神秘」「ミステリー」なら何でもってことね。。。
あっそれと、翻訳計画中のインドのミステリ「第三面の殺人」と台湾のミステリ「魔法妄想症」はぜひ読みたいなあ。
小森健太朗が「ゼロ年代」論のなかで、西尾維新と麻耶雄嵩について「成長しないことへの一段の屈折をかかえている」と述べて、綾辻行人・清涼院流水と比較しているんだけれど、この伝でいくとわたしは西尾維新が好きなはずなんだけどなあ。短篇しか読んだことないからな。今度代表長篇でも読んでみようか。
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