『プルートウ』第5巻 浦沢直樹・手塚治虫(小学館ビッグコミックス)★★★☆☆

 この作品の楽しみの一つは、浦沢タッチに姿を変えて登場する手塚キャラ。今回はスカンク草井(?)らしき脇役とヒゲオヤジが登場しました。でもスカンクは手塚作品ではあんなチンピラじゃなくてもっと大物キャラだよなあとか思ったり。こういうこと感じちゃうのは既にどっぷりオタクの域に浸かってしまってるのかな……。でもそれよりもヒゲオヤジ! 名前を言われなきゃただの浦沢キャラだよ。ていうか江戸っ子じゃないよ、この人。

 ストーリーの方は、ますます浦沢流の悪い方向に進んでいます。観念的なイメージ優先の思わせぶり。最近の浦沢作品の常として、どうせ完結しても謎の答えは明らかにならないだろうと諦めてるので、ちっともサスペンスフルではありません。ここらでこっちのそういう思い込みを裏切って、見事な完結篇を描いてほしいものですが。

 ところで『鉄腕アトム』「青騎士の巻」では、ロボットに憎悪が芽生えるきっかけは兄弟を殺されたことでしたが、本書では〈同じロボットを〉と一般化していますね。つまりゲジヒトには〈ロボットと人間は違うもの〉であり〈ロボットという同族〉という意識があるわけで、これは著者がすなわち〈隣の国民と我が国は違うもの〉とか〈向こうの民族とわたしたちの民族は違うもの〉というような現代的な問題に置き換えようとしているのでしょうか……?
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