『古時計の秘密』キャロリン・キーン/渡辺庸子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 海外ものを読んでいるとちらほら見かける「ナンシー・ドルー」ものが完訳で登場です。

 大げさでも何でもなくて、ページを開いた途端にびっくりしちゃいました。だってナンシー・ドルーが車を運転してるんだもの。「少女探偵」だなんていうからもっと幼いのかと思ってました。コナンとかマガークとかズッコケとか。でも実は十八歳なんだそうです。ううむ。。。girlではあるけど少女ではないような。

 それはともかく、でも実際に読んでみると、十八歳らしいのは車を運転するところだけで、あとはせいぜいい中学生くらいをイメージした方がしっくりくると思います。

 和にしろ洋にしろ、子供もの作品なのに探偵団ではなく個人探偵というのは珍しいような気もします。少年探偵団だってエーミールだって仲間がいたものなあ。その分といってはなんですが、お父さんととても仲良しというのも意外です。娘の冒険を全然心配してない(^_^;。

 あと、一人だから弱みを見せないんですよね。行動力があって健気で弱音も吐かず機転も利く。まあ何というか……かっこいいです(^^)。やはり子どもだったら憧れるでしょうね。

 ミステリ的にはどうということはありません。前半は探偵ごっこ(?)自体の楽しさですね。いろんな人と知り合えて、悪役の横暴に憤って。後半は宝探し――の過程でおおっと事件に巻き込まれます。一番盛り上がるのはここかな。大胆というより無謀なんだもの。怖いもの知らず。

 宝探しに関して言えば、まあ“安全な隠し場所”については期待しない方がよいでしょう。

 ちょっといい子ちゃん過ぎるのは、子ども向けだからしょうがありません。二作目も読もうかなという気持にはなる出来映えでした。

 『The Secret of the Old Clock』Carolyn Keene,1930年。

 ナンシー・ドルー18歳。金持ちの老人の遺産を、強欲な親戚一家がむりやり独り占めし、これまで老人から援助の手を差し伸べてもらっていた人々が困っているらしい。みんなに遺産がいきわたるようにすべく、ナンシーは遺言書捜しに奔走する。正義感が強く好奇心旺盛なナンシーが、大人顔負けの活躍で事件を解決する。長年にわたり人々に愛されてきたシリーズの、記念すべき第一作!(裏表紙あらすじより)
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