『西武新宿戦線異状なし 完全版』押井守・大野宏之(角川書店)★★★★☆

 あまり熱心な漫画読者ではないのでこの本の存在自体を知らなかったのだけれど、古本屋で見かけて、あ、押井守だ、と発作的に購入。

 当たり前のことなんですけど、青臭い青年が「青臭い」存在として描かれてるんですよね。でもこの当たり前のことができていない漫画ってけっこう多いように感じる。青臭いことこそがあたかも全能であるかのようにふるまう、とっちゃんぼうやヒーローもの。だから『ガンダム』とか大っ嫌いなのだ。

 閑話休題

 押井守メカフェチだけど、創作者として責任感があるっていうか、ただ戦ってるだけのバトル漫画ではないところが好きです。最低限の教養(教養主義的な意味での教養ではない。何なら常識とかマナーとか言いかえてもよい)に裏打ちされているから、安心して読める。「いつまでも子どものままでいたい人」や「理解ある大人を演じたがる人(あるいはそれが大人なのだと勘違いしている人)」の出る幕などない。

 まあそんなのは結局理想論なのかなーとは思いつつ、理想なのだからかっこいい人しか登場しないところが、やっぱり読んでいて楽しい。

 クーデターによって戦場と化した東京。戦車兵に憧れる高校生、丸輪零は『革命政府』のオルグの誘いを受け、義勇兵として独立第3戦闘工作隊第58戦車回収小隊へと配属される。しかし、そこに待っていたのは正体不明の3人の男と形式不明の装甲回収車。バタ屋のみならずヤミ屋も兼ねた小隊に呆れる零。そんなある日、警務隊に捕えられた零たちの前に謎の女が現れ、「ある物」を回収する秘密任務を言い渡す――。(カバー裏あらすじより)
 ----------

  『西武新宿戦線異状なし』
  オンライン書店bk1で詳細を見る。
 amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ