『図説 江戸東京怪異百物語』湯本豪一(河出書房ふくろうの本)★★★★☆

 ほんとうに百話あるのが地味に偉いです。欲を言えば九十九話であってほしかったが。

 図版と現代語の紹介文が掲載されているのですが、大判なので図版の原文も読むことができます。これがけっこう面白い。講談調(七五調で駄洒落あり)だったり、現代文には書かれていない細かい描写があったり。「虚説《うそ》か本所」とか「鐘さへ後更に入江町」とか、しょーもない(^_^;。夜窓鬼談の解説で、現代文で大まじめに「千金を得ずして疝気が入る」なんて書かれると妙に可笑しい。

 瓦版の文字はさすがに読みづらい。というか読めない。。。そう考えると浮世絵の技術って改めて凄いな。文字が版画文字じゃなくってちゃんと筆文字になってるものなあ。

 妖怪とか怪談といった趣のある江戸の怪異から、明治になると実話怪談っぽいのが増えてくるのだけれど、明治時代のセンスが何ともいえずこそばゆい(^^)。『東京日々新聞』の題字はないだろう。。。しかも天使がおっさん顔だし。第79話の「大坊主の話」などは現代のタクシー怪談に通じて面白い。第88話「大井村の狐」、なぜキュウリ(^^)? 第94話の「蛇の祟り」は、そりゃ祟りじゃなくて殺人事件だろうと思ったり。○○ということが起こった、とかじゃなくって、○○ということがあったから某氏は今日これこれする予定である、みたいな記事があるのが笑った(^^)。
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