『ダルジールの死』レジナルド・ヒル/松下祥子訳(ポケミス1810)★★★★☆

 『The Death of Dalziel』Reginald Hill,2007年。

 警察小説はやっぱり面白い。娯楽ミステリの中では一番面白いんじゃないだろうか。何しろ謎解きでもあればキャラクター小説でもあるしサスペンスや冒険、イアン・ランキンみたいにハードボイルドだったりもする。いいとこ取りなのだ。

 実はダルジールものは初読なのだが(おまけに本書の場合ダルジールはほとんど登場しない)、本書を読むかぎりではパスコー警部も充分に主役を張れる存在感です。

 タイトルこそ衝撃的ですが、あらすじを読んでいただければわかるとおり、ダルジールが瀕死に至る経緯にそもそもユーモアがありますし、これだけパスコーが頑張っておいて、最後の最後に事件を解決するのがそいつかい!っていういい意味での腰砕け感もありました。

 イギリスにも9・11が色濃く反映されているようです。

 通報してきたのが無能で鳴らすヘクター巡査でなかったら、通報を受けたのが無頼で鳴らすダルジール警視でなかったら、爆破事件の様相はまったく違っていたかもしれない。だが現実には、爆発に巻きこまれたダルジールは瀕死の重傷で生死の境をさまよい、パスコーがただ一人爆破事件を追っている。事件の背後には、反テロを標榜してテロ容疑者や支援者を殺してゆく〈新テンプル騎士団〉と名乗る謎のグループが介在しているらしい。だが、敵のメンバーは公安捜査の中枢にも……ダルジールの容態を気づかいつつも、パスコーは単独捜査に突っ走る!(裏表紙あらすじより)
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