『誕生パーティの17人』ヤーン・エクストレム/後藤安彦訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 『Ättestupan(Deadly Reunion)』Jan Ekström,1975年。

 『ミステリマガジン』で著者の『ウナギ罠』が紹介されてたので、興味を持って唯一の邦訳を読んでみる。

 〈古き良き退屈な古典的ミステリ〉パターンとでもいうか、前半に事件が起こって、あとは関係者何人かの視点と探偵役の視点で少しずつ人間関係が明らかになってゆく話。けっこう密度の濃い文体なので飛ばし読みはできないけど、それだけに大して事件性はないのに読んでいても面白い。絵に描いたような一族の確執が読みどころ。

 何しろ邦題にもあるとおりあまりにも登場人物が多いので最初の一、二章はしんどいけど。

 〈スウェーデンのカー〉というキャッチ・コピーに関していえば、密室の謎自体が地味なのがちょっともったいない。もっと盛り上げてもよかったのに。でも密室の解答は割りと面白かった。

 解決編も一工夫あって好印象。

 一族の長老エバ・レタンデルの90歳の誕生日を祝うパーティの夜、密室の中で発見された二つの死体。ドゥレル警部の捜査の結果、単純な事件と思われたものが、徐々に不可解な連続殺人の様相を呈してくる。だが、そうだとすると、一体誰が、何のために、どのように行なった犯行なのか? 「スウェーデンのカー」と言われる著者の、本邦初紹介作品!(裏表紙あらすじより)
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  『誕生パーティの17人』
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