古典の復刻がメインだった〈異の世界〉に現代の、それも論文が登場。もっとこういうの増えてほしいな。
酒呑童子はそんなに好きな妖怪(?)じゃないんで買うのを躊躇していたんだけれど、これは著者自身も書いてるとおり「素人ホームズ」の名推理みたいで楽しめた。
形のうえでは酒呑童子VS頼光ではないなんてのを、中国説話と比較しつつ明らかにしていく過程なんかは、特に面白かったです。渡辺綱=架空の人物という事実(?)をきっかけに、説話成立の事情に踏み入ってゆく第六章もよかった。
「鬼と呼ばれた何か」の正体とは――酒呑童子伝説を読み解き、平安時代から中世に至る、「鬼」と「鬼退治」の足跡をたどりながら、鬼退治の物語がどう混交し、影響しあって伝播していったかを推理・検証する。緻密な考察と軽やかな想像力が、読む者の知的好奇心を指摘する、「もうひとつの日本文化論」。(カバー袖あらすじより)
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