『The Devil's Rose and other stories』Tanith Lee。
雰囲気はいいんだけど、全編タンビーな感じでちょっと好みではない。冒頭の「別離」には気品といった佇まいもあってよかったけど、ほかはどれだけ怪奇で幻想的でも基本がタンビーなファンタジーなので……。
味が濃すぎて味わいにならない。こってりソースがメインの料理って感じかな。無論ソースこそ命の料理もあるわけで。ただわたしの口には合わなかった。
むしろ「黄金変成」のように、異人への恐怖や不審を、味も素材も純然たるファンタジーとして昇華させたものの方が、潔くてよい。
「悪魔の薔薇」とか「彼女は三(死の女神)」とか、思わせぶりに象徴的な話の場合は、結末が逆効果。
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