わたし自身はこういうふうには読めない。だけどこういう読み方には憧れる。そんなわけで佐藤亜紀や若島正のエッセイを好んで読んできた人間にとっては、冒頭部分はもはや言わずもがな。
読み方にしたがって実際に読み解かれる本章は圧巻の一言。さり気ない描写のなかからナボコフの意図を読み取るのはもちろん、単なる羅列にしか見えない単語からも読み取ってしまうあたりが特にしびれました。
ステラ・ファンタジアや『少女大百科』なんて魔法だねえ。
「「私」の部屋」の章では英文併記で話法について筆が割かれています。ナボコフの凄さというか嫌らしさというか……翻訳の苦労がしのばれます。
ナボコフ作品だけじゃなく、本書自体も再読再々読したくなりました。
画期の新訳『ロリータ』を世に問い、絶賛を博した著者が、満を持して書き下ろす決定版『ロリータ』論、遂に刊行! ナボコフが張りめぐらせた語り/騙りの謎の数々がいま、稀代の読み手の緻密な読解によって、見事に解き明かされていく。知的興奮と批評の醍醐味が溢れる衝撃の一冊!(帯あらすじより)
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