『渡辺えり子1 光る時間/月夜の道化師』渡辺えり子(ハヤカワ演劇文庫12)

 タレントとしての顔、女優としての顔、脚本家としての顔、すべてにおいて同じイメージをもたらす確乎たる個性とスタンスというのは見事なものだ、と思うけれど、あまり好きではない。

「光る時間」★★☆☆☆
 ――老親との家族旅行先でくつろいでいると、見知らぬ客が次々と現れ、戸惑う家族をよそに酒盛りを始めた。やがて彼らは太平洋戦争末期、若き父と軍需工場で生死をともにした仲間だったことが明らかに。いま初めて知る、“必死の時”を生き抜いてきた父と家族の想いを描く「光る時間」。(裏表紙あらすじより)

 何やらおバカに騒いでいる息子や娘が40代という設定がすでにしてグロテスクだ。10代20代かと思ったよ。内容自体も、老人が自分を正当化しようとする言い訳がグロテスクで、たまらなかった。40代とその親世代が自己愛むきだしでぶつかり合って、その果てにある理解・和解というのは、ある意味では理解できるし形としては優れているのかもしれないけれど、その下の世代のわたしからすると、関係ない他人の恥部を見せびらかされているようで不快だった。
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