「鍋の中」が読みたくて購入。
「熱愛」★★☆☆☆――
友人の喪失をきっかけに自分探しを始めるうえに、その道具立てが若者のバイクという、青臭いことこのうえない作品なのだが、一人称が説明臭すぎて鼻につく。
「鍋の中」★★★★☆――
素晴らしいね。こんな素晴らしい結びの小説というのは、なかなかない。リアリズム小説でありながらファンタジックな情景に溢れている。子ども特有の夢想とおばあちゃんの愛らしく謎めいた不気味さがぴったりの化学反応を起こしています。
「望潮」★★★☆☆――
最後にシオマネキを持ち出してきて、いかにも教科書に載るような小説的に締めくくっちゃったのが残念。姥捨て系という説教臭くなりがちな題材を、箱車おばあちゃんの行進という奇観でせっかく輝かせていたのに。
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