『文庫本福袋』坪内祐三(文春文庫)
こういう本は、読みたい本がどんどん増えていくから困ります。
特に本書に紹介されているのは、ふだんあまり興味を惹かれないタイプの作品が多かったから困る。
『明治東京風俗語事典』や『新編明治人物夜話』といった明治・東京ものや、つい見過ごしがちな大作家もの(吉行淳之介の対談集『やわらかい話』、吉田司『宮沢賢治殺人事件』、川端康成『文芸時評』、『バートン版千夜一夜物語』)などは、新刊案内でタイトルは目にしても「まあそのうち」と後回しにしてしまいがちです。
船曳建夫『二世論』なんてすごくつまらなさそうなタイトルだから、紹介されなければ絶対に興味を持ったりはしなかったはず。紹介されている「二世」たちのコメントが面白い。あるいは立花隆他『二十歳のころ』の項では、ドクター中松に対する坪内氏のコメント「本人的リアリティの中で、筋が通っているのに感心」というのに大笑い。
あとは中山康樹の全曲制覇本シリーズ。『これがビートルズだ』『ディランを聴け!!』『マイルスを聴け!』『超ブルーノート入門』『ビーチボーイズのすべて』なんてタイトルの本、いかにもやっつけ本みたいで普通は読みたいと思いません。ところがこれが発表順に全曲を聴いたうえで名作も駄作も全曲同じ字数ですべて論じたという趣向の本であるらしい。
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