『聖母のいない国』小谷野敦(河出文庫)★★★★☆

 アメリカ小説の評論。

 帯に「身も蓋もなく解き放つ!!」とあるけれど、その言葉に偽りのない内容でした。

 『緋文字』について「だいたいなぜ私が、姦通を犯した女とその相手に共感しなければならないのか」だとか、『赤毛のアン』について「「アン」人気を支えているのは、こういう超エリート女たちではなく、二、三流の大学や短大を出た程度の、どちらかといえばおとなしめの女たちだというのが私の印象だ」だとか、これだけならただの野次にすら思えるような「見も蓋もな」さですが、通して読めばそこはもちろんちゃんと評論です。

 ただ、導入のインパクトがあまりにも大きすぎるせいで、結論は結構フツーじゃん、と思ってしまう作品もありましたが。
 ----------------

  『聖母のいない国』
  オンライン書店bk1で詳細を見る。
 amazon.co.jp amazon.co.jp で詳細を見る。


防犯カメラ