『不思議なミッキー・フィン』エリオット・ポール/今本渉訳(河出書房新社)★★★★☆

 『The Mysterious Mickey Finn』Elliot Paul,1939年。

 ちょっと長すぎるかな。

 前半はアイデアとすれ違いのドタバタで、後半はアクション主体になる。

 友人を助けるために怪しげな計画を立てたところが、ひょんなことから犯罪に巻き込まれ……警察も含めた、このあたりの馬鹿合戦は面白い。そんなバカな計画にそこまでぴったり別解釈できる犯罪が起こるというのがまず嬉しいし、しかも警察が強引に誤解してくれたりもするから楽しい。死体発見シーンの緊張感のなさなんて、歴史に残る迷場面です。

 何が起こっているんだろうというミステリ的な興味もあるし。

 こういうスマートな前半と比べると、ミステリ的な目処がある程度ついちゃってからの後半は、ひたすらドタバタしているだけな印象で、ちょっとだれちゃいますが。

 ヒロイン役のミリアムが拳銃をぶっ放すのが大好きなアブナイ娘っこだったり、動植物が出てくるたびに学名も併記されてたり、何かというとみんなして酒ばかり飲んでたり、妙なおかしさが満載です。

 パリ訪問中のアメリカの大富豪ワイス氏が姿を消した。モンパルナスの芸術家たちの後援者の危機に、若きディレッタント、ホーマー・エヴァンズは仲間と共に捜査に乗り出す。大戦間のパリを活写した、傑作ユーモア・ミステリ。
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