『七面坂心中』の著者の第二作。
一作目のあまりの鏡花ぶりに、選考委員ならずとも「ほかのタイプのものが書けるのか?」と思うところだけど、本書はそれに答えるかのようなブラジル・ファンタジー。小学生のころにブラジルに移住という経歴を読めば納得してしまうのではあるが。
日本人であるわたしには、どこまでがリアルなブラジルなのかがわからないところがいい。生々しいところもあれば、童話みたいなところもあったりして、印象は完全にジュヴナイル・ファンタジーです。
UFOなんだか人魂なんだかちゃんぽんなところも、日本が舞台では考えられない新鮮な感覚です。
家族でブラジルに移住した少年・真理夫(マリオ)。スモウの大会に向けて、父が経営する町工場で慧子註に死んでしまったジョゼは、死後もマワシを締めているのだろうか。悩むマリオが見たものとは? 呪術師・マクンバ、イタズラ者のサシー・ペレレ、サッカー対決、スモウ大会……光るオタマ。第1回『幽』怪談文学賞受賞作家による異色のブラジリアン奇譚。表題作ほか一篇を収録。(カバー裏あらすじより)
『マリオのUFO』
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