『オンディーヌ』ジャン・ジロドゥ/二木麻里訳(光文社古典新訳文庫)★★☆☆☆

 『Ondine』Jean Giroudoux,1939年。

 「いま、息をしている言葉で」がキャッチコピーの古典新訳文庫ではありますが、これまた思い切った翻訳をしたものです。これまでの古典新訳文庫でいちばんの冒険かも。

 というのも何しろ、これではオンディーヌがほとんど頭の空っぽな女の子です。「この貝がらに敬語なんて、むり。」とか「はい、あたしはオンディーヌ、水の精です。」とか、これは果たして「いまの言葉」なのかなあ。ツンデレかな。ツンデレだな。騎士ハンスすら「なに、このやりとり。それに、そのけんまく!」ですからね。。。いやはや……。

 原作がロマンティック・コメディなのだとすると、その要素を存分に引き出した名訳というべきなのかなあ。訳者が構成の凄さについて詳細に解説していて、それはとてもありがたいけど。

 ものすごい完成度でものすごいバカなことをするというのは嫌いじゃありませんが。タモリとかモエヤンとかね。いや、そんなレベルの話なのか?

 森のなかの湖畔近くで暮らす猟師の養女オンディーヌ。ある日、騎士ハンスと出会い、恋に落ちる。ハンスも美しい彼女に魅かれ、ともに城での生活を始める。ただ、彼女は人間ではなく、水の精だった――。「究極の愛」を描いたジロドゥ演劇の最高傑作。(カバー裏あらすじより)
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