『ざくろの実 アメリカ女流作家怪奇小説選』イーデス・ウォートン他/梅田正彦訳(鳥影社)

 イギリス編『鼻のある男』に続いての、女流怪談アメリカ編。けっこうイギリス編の方がインパクトのある話が多くてイメージが覆されました。本書アメリカ編の方がじわじわ系の地味な作品が多かった。

「黄色い壁紙」のシャーロット・ギルマン「揺り椅子」や、具体的な作品は思い浮かばないけど名前に覚えのあるメアリー・ウィルキンズ・フリーマン「壁にうつる影」、表題作イーデス・ウォートン「ざくろの実」あたりが怪談好きにも馴染みのあるところだろうか。

 亡き先妻の(文字どおりの?)亡霊に怯える表題作がやはり抜きんでています。地味だし定番の展開ともいえるんだけどそれだけに最後にぞくっとさせられる「壁にうつる影」、見えないものを見てしまう語り手の二作エレン・グラスゴー「幻覚のような」メアリー・ハートウェル・キャザーウッド「青い男」が物悲しい幻想小説風で印象に残った。

 ほかにゾナ・ゲイル「新婚の池」、ウィラ・キャザー「成り行き」、イーリア・ウィルキンソン・ピーティー「なかった家」を収録。
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  『ざくろの実』


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